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言葉、慣行・・・自立の壁<脱北12>「単語一つで答えてはだめ。笑顔で丁寧に」 9月下旬、韓国政府がソウルで開いた脱北者対象の就職セミナー。集まった男女約100人はまず、模擬面接で統一省の担当者からアドバイスを受けた。 「仕事も国家に決められていた脱北者たちは、自己アピールの経験がなく受け身になりがち」(担当者)といい、参加者らは数々の助言を胸に31社のブースに分かれて本面接に臨んだ。 韓国に逃れた脱北者は1万7000人を超え、日本に定住した人の100倍近い。同省によると、来年中には2万人を超える見通しだが、就職など自立の遅れが社会問題化している。 彼らは入国後3か月間、政府の定着支援施設で資本主義社会についての素養を学び、1900万ウォン(約145万円)の定着支援金を支給される。しかし、NGOの調査では昨年の失業率は一般の韓国人の3倍。政府統計によれば55%が生活保護を受けている。 自立を妨げているものは何か。ソウルに住む30歳代の脱北者女性は言葉の問題を挙げる。北朝鮮のアクセントで話すと韓国人にはけんか腰に聞こえるらしく、「買い物で店員に話しかけると、大抵ぎょっとされる。外出が憂うつ」と悩む。 40歳代の女性は「夫が内装関係の仕事に就いたが、給料は周囲の3分の2で、2か月で辞めた」と憤る。同省によると、脱北者が研修期間など企業の慣行を理解できず、「差別だ」と誤解することも多いという。 ソウル近郊にある「現代ホテル観光職業専門学校」は3年前から、政府の支援を得て製パン技術を学ぶ脱北者向けのクラスを開講。同国初の試みで、「確かな技術を身につければ自立は可能」と、女性を中心に約170人を大手食品会社などに送り出してきた。 在学中の女性(40)は「クッキーやオーブンなど初めて聞く言葉が多くて大変。でも努力は報われると信じて勉強をしている」。 女性校長は「北から来た人たちは、いつか南北統一が実現した日に双方の橋渡しができる貴重な人材。長期的な視点で受け入れることが大事」と力を込めた。 (2009年12月1日 読売新聞)
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