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更新:12月4日 13:34デジタル家電&エンタメ:最新ニュース

GPSで広がりだした「代替現実ゲーム」の楽しみ方 

 ゲームをディスプレーの中だけでなく外部の現実世界と結びつけて楽しもうという試みが、「GPS(全地球測位システム)」の普及とともに広がり出した。現実世界にオーバーラップさせるように別の現実を組み合わせるため、この分野のゲームは「代替現実ゲーム(Alternate Reality Game)」と呼ばれる。今回は、日本でも目につき始めたこのARGの魅力を紹介しよう。(新清士のゲームスクランブル)

 ARGの先行例は、米国で誕生した「ジオキャッシング(Geocaching)」という宝探しゲームだ。2000年にGPSゲームの草分けとして登場し、アウトドアゲームの一つとして広まった。現在は世界に100万人以上のプレーヤーがいると推定されている。

■世界中に隠された95万の「宝物」

 ゲームのルールは単純だ。「宝物」(キャッシュと呼ばれる)を隠すプレーヤーとそれを探すプレーヤーがいて、GPSとインターネットを使って宝探しを楽しむ。

 隠すプレーヤーは、キャッシュとなる小物(コインやキーホルダーなどそれほど高いものでないことが多い)と書き込み用ノートを、雨に濡れないようにタッパーなどに入れてどこかに隠す。その隠し場所の位置情報をGPSで取得して、ヒントなどの情報とともにジオキャッシングの公式サイトに登録する。 一方、探すプレーヤーは、公開された情報を頼りにGPS端末で位置を調べながらキャッシュを探しに行く。その場にたどり着いても巧妙に隠されているケースが多いため、ヒントを頼りにあたりを探すことになる。

 キャッシュを発見したプレーヤーは証拠としてノートに記録し、公式サイトに報告することで終了となる。見つけたキャッシュを自分の持つ何か別のものと交換しても構わない。

 公式サイトによると現在、世界中に隠されたキャッシュの数は95万にも及ぶ。英語サイトなので日本ではまだあまり知られていないが、それでも3281のキャッシュがあるという。東京だけで557もあり、一部で人気が出始めている。また沖縄にも409あって、これは米軍基地に所属している米国人が遊んでいるようだ。

■東京・聖橋の宝物を探してみた

 運営会社の米Groundspeakが「iPhone」用の公式アプリケーションを昨年リリースして、ジオキャッシングはさらに手軽になった。無料で公開されているイントロバージョンのアプリもある。iPhone上に、自分がいる座標の近くに隠されたキャッシュの位置情報や登録情報が表示されるので、だれでも気軽にゲームに参加できる。

 筆者もたまたま出かけたついでにやってみようと思い、東京・御茶ノ水駅近くの聖橋周辺にハンドル名strikeeaglさんが隠したキャッシュを探してみた。このキャッシュは07年に設置されたもののようで、発見者は現在まで142人と公式サイトにはある。夕方近く暗かったこともあり、残念ながら発見できなかった。

 もちろん、このゲームを知らない人はキャッシュの意味など知る由もなく、ゴミとして捨てられてしまうこともよくあるようだ。都市でキャッシュを隠すには、目立たないが探す人には見つけられる場所を選ぶテクニックが必要だ。聖橋のキャッシュは11月8日にも発見の報告があるので、まだしっかりとそこにあるようだ。

式根島でのイベントの様子。ゴミを拾いながらキャッシュを探す

■式根島が村おこしで活用

 このジオキャッシングを行政と組んで地域振興の試みとして開催したところがある。主催者は伊豆諸島の式根島の地元商工会。東京都からの村の産業振興予算を使って、ジオキャッシングを使った村おこしイベント「式根島CITO」を今年9月と10月に開いた。企画にはARGに詳しいジャーナリストの八重尾昌輝氏が参加している。

 「CITO」は、Cache In Trash Outの略で、ジオキャッシングを楽しみながら清掃活動をするというゲームと社会活動を結びつけた取り組みだ。小学生20人以上と監督役の大人10人あまりが、4チームに分かれて島を冒険しながら、ゴミ拾いなどをする。キャッシュは、ゲーム経験のあるプレーヤーによって、あらかじめいくつも隠されている。

 GPS機材の貸し出しはゼンリンが協力した。子ども向けには「プレイステーション・ポータブル(PSP)」とGPSソフト「みんなの地図 2」が貸し出され、大人はより高性能なGPSハードを携帯して、一日島を巡った。

 このイベントは非常に盛り上がり、子供も楽しんでトラックいっぱいのゴミを収集した。島を新しい視点で見直すという機会にも結びついたようだ。

 PSPとGPSの組み合わせは、来訪者のパーソナルな観光ガイドになるうえ、基本的な導入コストが安く済む利点がある。さらに、ジオキャッシングのようなゲームを取り入れることで、一味違った観光体験を提供できる。八重尾氏によると、来年は島全体を使ったより規模の大きいゲームを企画しているという。

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