＜家賃訴訟＞違法取り立て認定、慰謝料支払い命令　福岡地裁

　厳しい家賃取り立てで精神的苦痛を受けたとして、福岡市の男性が、東京の家賃保証会社と社員３人に損害賠償計１１０万円を求めた訴訟の控訴審判決が３日、福岡地裁であった。高野裕裁判長は、会社側に慰謝料５万円の支払いを命じた１審・福岡簡裁判決を変更。取り立ての違法性を認め、慰謝料など２２万円の支払いを命じた。

　簡裁は、未明を過ぎた取り立てが「精神的苦痛を与えた」としつつ「脅迫・強要など具体的な不法行為は認められない」とした。

　高野裁判長は原告側の証言の信用性を認め「深夜から未明に取り立てが約６時間続き、脅迫的文言や金策の要求、車内に監禁状態にした支払い要求などがあった」と悪質性を指摘。「心身の安全を脅かす行為で不法行為が成立する」とした。一連の取り立て行為の組織性は否定した。

　判決によると、男性は同社を連帯保証人に０７年４月、福岡市内で敷金、礼金なしをうたうアパートを月額約５万円で借りた。同６月以降家賃を完納できず、同８月に社員３人が男性方を訪問。午後９時ごろから翌午前３時ごろまで支払い交渉を続けた。

　会社側は「判決文は届いていないが、厳粛に受け止めている。コンプライアンスの更なる徹底に努めたい」としている。【和田武士】

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