「フィギュア、GPファイナル・第2日」(4日、代々木第一体育館)
女子のショートプログラム(SP)は安藤美姫(21)=トヨタ自動車=が66・20点で首位に立った。世界女王の金ヨナ(韓国)は3回転ジャンプが1回転になるミスなどで65・64点の2位となった。
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演技を終えた安藤は、大歓声と拍手に包まれながら首をかしげた。観客に手を振りながら、苦笑いを浮かべた。満足とは言えない内容に「もうちょっと点が低いと思った」と分析した66・20点は、今季自己ベスト。そして、初めてSPで金を上回り首位に立った。
女王の牙城を初めて崩す、価値ある首位発進だ。SPでは昨季開幕戦から7戦すべてトップという無類の強さを誇る金を抑えての首位ターン。フリーへ「今日の演技内容を見直して、明日はお客さんと一体になれるように頑張りたい」と気を引き締めた。
冷静さが、首位に立った要因だった。冒頭の3回転-3回転の連続ジャンプを、3回転-2回転に変えた。「(最初の3回転の)着地でいい感触ではなかったからダブル(2回転)にした。いい判断だったと思う」。とっさの判断が奏功した。その後は「左のエッジが抜けた」というスピンで減点はあったものの、大崩れはしなかった。
初戦となった10月のロシア杯直前に、SPのプログラムをモーツァルトの「レクイエム」に変更した。「ミサの曲。魂の叫びとか、神様に願いを込める意味がある。アジア人がミサを理解するのは難しいけど、少しずつ滑りやすくなっている」。滑り込むほどに、磨きをかけた表現力を生かせる曲になりつつある。
GPファイナル初V、そして五輪代表に王手をかけた。「結果よりも、やるべきことをちゃんとこなしたい。演技に対する気持ちの入れ方。ミスなくお客さんの前で滑ること。順位よりも大事だと思う」。あとは突き詰めてきた自分の演技を、ファンの前で披露するだけだ。