マイケル・ムーア監督(右)と原一男監督=4日午後3時31分、大阪府河南町の大阪芸大
資本主義の弊害を描いた映画「キャピタリズム マネーは踊る」の公開に合わせて米国から来日しているマイケル・ムーア監督が4日、大阪芸術大学(大阪府河南町)映像学科を訪問し、飛び入りで講義した。突然の来校を知り144席の教室は学生で満員、立ち見も出る中、1時間半にわたって熱弁をふるった。
ムーア監督は、尊敬するドキュメンタリー映像作家で同学科教授の原一男監督に会いたいと、予定を変更して同日午後、東京から到着。野球帽にTシャツ姿のいつものラフな格好で教壇に立った。
ムーア監督は、原監督が戦争責任を過激に糾弾する元日本兵を撮った「ゆきゆきて、神軍」を見て感動し、親交を結んだ。授業では原監督が「ドキュメンタリーは、そのままを撮るのだけでなく、仕掛けも必要。それによって見えてくる真実がある」と持論を展開。ムーア監督も「大事なのは作品の内容。その考えは正しい」と応じ、「失敗を恐れてはいけない。赤ちゃんが歩き方を習うよう、カメラを持ってミスを重ねながら、自分にとっての真実の物語を撮って欲しい」と学生に語りかけた。
映画「キャピタリズム」は5日から大阪、東京で、1月には全国で公開される。(長谷川千尋)