政府税調:「扶養控除」廃止へ…「特定」縮減検討も

2009年12月4日 21時28分 更新:12月5日 2時20分

所得税の控除と政府税調の方針
所得税の控除と政府税調の方針

 政府税制調査会は4日の全体会合で、2010年度税制改正で「子ども手当」の代替財源として、所得税などの「扶養控除」を廃止することで合意した。子ども手当の対象にならない23~69歳の扶養家族(成年扶養)がいる世帯は増税だけになるため、新たな控除を設けるなどの救済策を講じる方向で最終調整を進める。さらに政権内部では「特定扶養控除」(16~22歳が対象)の一部縮減を求める声も浮上している。

 扶養控除は15歳以下の子供と23~69歳を養っている人に対し、38万円を所得税(国税)の課税対象額から、33万円を住民税(地方税)の課税対象額からそれぞれ差し引く仕組み。

 子ども手当の導入に伴い、所得税分は11年1月から、住民税分は12年1月に廃止する方向となった。

 第一生命経済研究所の試算によると、年収700万円で妻と中学、高校の子供各1人がいる世帯の場合、扶養控除廃止で所得税が3.8万円、住民税が3.3万円の増税になる見通し。一方、中学生以下については、子ども手当の導入で10年度は15万6000円、11年度は31万2000円が支給される。

 また成年扶養も廃止の対象とすれば、子ども手当の恩恵がないまま増税負担だけが重くのしかかることになるため、救済策が検討されている。

 具体的には、障害者控除の対象者や要介護者など働く意思はあっても就労が困難な人について、新たな税制優遇措置の創設を検討。所得税の納付が扶養控除によってゼロになっている世帯は、控除廃止後も納税しなくていいようにするなどの激変緩和措置を講じる方向だ。

 一方、川端達夫文部科学相は4日、衆院選マニフェスト(政権公約)の見直しを進めている菅直人副総理兼国家戦略担当相と会い、高校授業料の実質無償化の財源に充てるため、「特定扶養控除」の縮減を求めた。これを受け、全体会合でも特定扶養控除の縮減が可能か検討することを確認した。

 「特定扶養控除」については民主党はマニフェストで維持を明記している。【赤間清広、加藤隆寛】

文字サイズ変更
この記事を印刷

PR情報

 

おすすめ情報

注目ブランド