ドバイ・ショック　巻き添え日本企業４３社

　ドバイ・ショックの影響は限定的だという見方が、株式市場に漂っている。

　実際、平均株価は一時の暴落から回復し、１日は９５００円台に戻した。円高も一服感がある。しかし、ドバイ・ショックは、それほど生易しい問題ではない。

「ドバイ・ショックが中東全体に飛び火する可能性は否定できません。中東地域への投資マネーを引き揚げる動きが出てくる恐れがあります」（ニッセイ基礎研究所の櫨浩一経済調査部長）

　こうなると、巻き添えを食う日本企業が続出しかねない。市場で囁かれる「中東関連の上場会社」は以下の表の通り。清水建設はドバイの人工リゾート島の高級マンション建設、大成建設は海底トンネル工事にからんでいる。鹿島や大林組も無人交通システムを請け負った。

　今回、債務の返済猶予を言い出したドバイ政府系のドバイ・ワールドに直接かんでいるとは限らないが、ドバイ関連だけで１０社。中東全体では４３社が、何らかのビジネスを手掛けたり、駐在員を置いたりしているのだ。ドバイ・ショックの広がり次第では、大やけどを負う恐れがある。

「日本企業がドバイを含むＵＡＥに貸し付けている金額は、全体で推定１兆円前後とみられています。もっともドバイ・ショックで一番痛手を受けているのはＥＵ諸国、とくにイギリスです。ＥＵの金融システムが崩壊する危険性があります」（株式評論家の桜井英明氏）

　ＥＵ発の世界金融危機が勃発するかもしれないのだ。

「信用不安が高まれば、また世界中の投資マネーが回収・収縮に向かう。ロシアや新興国への対外投資がストップする心配も出てきます。そうなれば、世界経済は再び大失速です」（前出の櫨氏）

　ようやくリーマン・ショックから立ち直りつつある世界に、再び暗黒が忍び寄っている。

◇社名／主な業種／関わりのある地域

◆鹿島／ゼネコン／ドバイ、ＵＡＥ

◆大成建設／ゼネコン／ドバイ、ＵＡＥ

◆大林組／ゼネコン／ドバイ、ＵＡＥ

◆三菱重工業／機械／ドバイ、ＵＡＥ

◆近畿車両／輸送用機器／ドバイ、ＵＡＥ

◆三菱商事／総合商社／ドバイ、ＵＡＥ

◆清水建設／建設／ドバイ

◆日揮／建設／ドバイ

◆日立プラントテクノロジー／建設／ドバイ

◆ソニー／電機／ドバイ

◆丸紅／総合商社／アブダビ、ＵＡＥ

◆三井物産／総合商社／サウジ、ＵＡＥ

◆キッツ／機械／ＵＡＥ

◆東京電力／電力／ＵＡＥ

◆国際石油開発帝石／鉱業／アブダビ

◆日本上下水道設計／上下水道コンサル／シリア

◆住友化学／化学／サウジ

◆ササクラ／機械／サウジ

◆住友倉庫／倉庫／サウジ

◆大和工業／鉄鋼／バーレーン

◆住友商事／総合商社／バーレーン

◆東洋エンジニアリング／建設／カタール

◆千代田化工建設／建設／カタール、クウェート

◆東レ／繊維／中東

◆資生堂／化粧品／中東

◆コーセー／化粧品／中東

◆コマツ／機械／中東

◆住友重機械工業／機械／中東

◆日立建機／機械／中東

◆酉島製作所／機械／中東

◆北越工業／機械／中東

◆加藤製作所／機械／中東

◆マキタ／機械／中東

◆ダイヘン／電気機器／中東

◆いすゞ自動車／自動車／中東

◆日野自動車／自動車／中東

◆大同メタル工業／輸送用機器／中東

◆愛知機械工業／輸送用機器／中東

◆ＳＨＯＥＩ／ヘルメット／中東

◆第一実業／商社（機械）／中東

◆阪和興業／商社（鉄鋼）／中東

◆川崎近海汽船／海運／中東

◆カナモト／建機レンタル／中東

※ＵＡＥはアラブ首長国連邦＝ドバイ、アブダビを含む７つの首長国、サウジはサウジアラビア

（日刊ゲンダイ2009年12月2日掲載）