市橋容疑者、なぜ遺体の髪切った？

　千葉県市川市で０７年、英国籍の英会話講師リンゼイ・アン・ホーカーさん（当時２２）の遺体が見つかった事件で、千葉県警行徳署捜査本部は４日午前、殺人と強姦（ごうかん）致死容疑で再逮捕した市橋達也容疑者（３０）を千葉地検に送致した。移送車の後部座席はカーテンで完全ガード。絶食を止め、リバウンドしたとされる市橋容疑者の様子をうかがうことはできなかった。また、リンゼイさんの遺体は、髪が数十センチ切られていたことが捜査関係者への取材で分かった。

　市橋容疑者を乗せたシルバーのワゴン車は、千葉刑務所内の拘置施設を午前８時３０分過ぎに出発した。同容疑者が姿を見せるのは、１１月１２日の死体遺棄容疑での送検以来２２日ぶりとあって、刑務所門前には多くの報道陣が詰めかけた。だが、窓ガラスにはカーテンがひかれ、運転席と後部座席の間まできっちりと閉め切られていた。

　午後１１時３０分、地検から拘留申請のために向かった千葉地裁でも、駐車場のシャッターを下ろしてから市橋容疑者を降車させるなど厳戒態勢だった。前回の送検時には、行徳署前の道路を通行止めにし、署員３０人以上が警備に当たったにもかかわらず、２００人以上の報道陣で大混乱。逮捕者やけが人まで出た。この反省から、捜査本部では今回の完全ガードでの移送態勢を取ったとみられる。市橋容疑者は午後４時に千葉刑務所に戻った。市橋橋容疑者は１１月１０日に死体遺棄容疑で逮捕されてから２週間絶食したが、同２４日に初めて食事してからは３食を食べ、さらにあんパンやお菓子の差し入れを食べている。絶食後のリバウンドにより「太った」（捜査関係者）とされる姿は、最後まで見ることはできなかった。

　捜査関係者によると、浴槽に砂で埋められた状態で見つかったリンゼイさんは、髪がばっさりと切られ、園芸用のひもで手足を縛られていたことが判明した。髪の毛は事件発覚当時、室内のごみ袋から数十センチの長さの束で見つかったという。手足を縛っていたひもは園芸などに使う市販の合成樹脂製だった。捜査本部では、リンゼイさんをひもで縛って身動きできない状態にして暴行し、その後に髪を切ったとみて、市橋容疑者を調べている。

　捜査関係者によると、同じごみ袋からは園芸用の砂の空袋も見つかっているという。捜査本部では、市橋容疑者が遺体を隠すために砂を購入、遺体が腐敗した場合に備えて浴槽をベランダに置き、園芸用の砂で覆うことで異臭を抑えようとしたとみている。市橋容疑者は事件については黙秘を続けている。

　［2009年12月5日9時15分　紙面から］