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ハンディカメラ取材で波紋 乱れる現場 「倫理違反」指摘も (2/2ページ)
“肉薄”が目的
さらに報道番組のワイドショー化が進むにつれ、何を撮るかよりも対象を追いかけること自体が撮影の目的となりつつある。市橋容疑者の送検時でも、車に乗り込む前に容疑者の顔が撮影できたし、車の窓にカーテンがかかっていることは事前に知らされていた。にもかかわらず、ディレクターは車に向かった。「何か撮れると思った」。ディレクターは釈放後、報道陣にこう語っている。
立命館大学の金山勉教授(メディア社会学)は「制作の現場では、ディレクターはインパクトのある映像をほしがる立場。自分のカメラが容疑者の車に迫ったことが、視聴者にとって面白いはずという発想では」と分析する。
現場にノンプロ
こうしたハンディカメラ部隊の振る舞いについて、報道倫理に詳しい名城大コンプライアンス研究センターの郷原信郎センター長は「もともとの職業カメラマンには職業倫理があったが、今は現場にプロ以外の存在が割り込み、倫理違反が起きている」と危機感を持つ。
現場からも、「報道の規制強化に進むのでは」といった声は根強い。行徳署の大谷毅副署長は「一般人をシャットアウトするなど、報道には配慮した。信頼関係は揺るがないが、何回も続けば対応を検討する可能性もある」と話す。
ビデオニュースの神保代表は「メディアは公共の利益に資するからこそ、映像を撮ることが許されている。一時的な視聴率獲得のために逸脱した行為をしても、視聴者はテレビに公益性を認めなくなり、テレビ離れを促すだけだ」と警鐘を鳴らしている。
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