日本サッカー協会の犬飼基昭会長は、何としても冬季にJリーグを開催したいらしい。今年3月、J1山形のホーム開幕戦が雪に見舞われた。相手の名古屋側から「やっぱり冬は無理」と、悲鳴が上がったことを忘れてしまったのだろうか
▼秋に開幕し、冬も試合をする「秋春シーズン制」。犬飼会長が就任以来、導入を唱えてきたが、Jリーグが移行しないと決めたのはつい9カ月ほど前のことだ。今度は、現在の3~12月初めのリーグ戦を翌年1月末まで延長し、夏場の試合を減らす案を出すという
▼冬開催に反対して全国から署名を集め、日本協会に提出したアルビレックス新潟サポーターらの思いは届かなかったのか。冬を前にした会長発言に「またか」の嘆きも聞こえる
▼先日、新潟であった柏戦は、トイレや売店がある通路は、台風並みとの声が上がるほどの大荒れだった。「パパもう帰ろう」と泣き叫ぶ幼児もいたという。翌週の神奈川での川崎戦は一転、汗ばむような陽気になった。「厚着してくるんじゃなかった」という新潟サポーターもいた
▼サッカーやラグビーなど屋外スポーツは、四季を問わず突然の雷雨や荒天がつきものだというのは分かる。でも、本県など北国の冬には、雪やみぞれが見舞うのは当たり前だ
▼会長は吹雪の中でサッカーを観戦した経験が何回おありか。暖房のきいた特別室ではなく、防寒グッズに身を固めたお年寄りや子どもたちが懸命に声援を送る屋外席で一緒に観戦し、その感想をまずお聞きしたい。リーグ戦はきょう、最終節を迎える。

新潟日報2009年12月5日