鹿児島県阿久根市の竹原信一市長が自身のブログ(日記風サイト)に「高度医療が障害者を生き残らせている」などと障害者の出生を否定するかのような記載をした問題で、同県教委が経緯などについて調査を始めた。同市役所には、抗議の電話やメールが約150件相次いでいる。
県教委によると、ブログの記載は問題として、3日、事実関係を問い合わせた。竹原市長から4日に「養護学校(特別支援学校)に勤める人の話を聞き、自分もそうだと思ったので書いた。誰が言ったかは答えない」との回答があったという。「事実とすれば、発言者を確かめる必要がある」として、引き続き市に回答を求めている。
竹原市長は障害者の記述について、報道陣に対し「事実は事実。感情的な反応は分かるが、医療が人の生死をコントロールできる神の領域に踏み込んでいる」と述べ、謝罪や撤回する考えは示していない。
一方、市によると、この記述に関する意見は4日午後5時までに電話88件、メール51件、ファクス4件、電報3件。大半が「市長は謝罪して辞職するべきだ」といった抗議だったが、賛同意見もあったという。
この問題では、14日からの市議会一般質問で市議3人が取り上げる予定。竹原市長は「チューブにつないで無理やり生かすのも医療。切りましょうという判断を政治的にどこかでしないといけない」とも話している。
■天皇批判も記述 市議が問題視
鹿児島県阿久根市の竹原信一市長が2年前、自身のブログ(日記風サイト)に「天皇家はどこの馬の骨とも分からない家系」と記載し、現在も削除していないことが分かった。一部市議が「市長の現在の認識を問いたい」として、14日からの市議会一般質問で見解をただす予定という。
記載は市議時代の2007年6月7日付。明治天皇は伊藤博文が手下とすり替えたとし、「今の天皇家はまさしくどこの馬の骨とも分からない家系。昭和天皇が終戦時に国民を配慮した気配は全くない。ひたすら私財の保全にだけ心血を注いだ」などと記している。
竹原市長は取材に「歴史的事象はどの情報を真実として考えるか、その人のセンス。市長の立場で説明すべきでない場合もある」と話している。
=2009/12/05付 西日本新聞朝刊=