【ソウル=箱田哲也】韓国・釜山の室内射撃場で起き、日本人観光客10人を含む計15人が死亡した火災で、釜山市は被害者への補償金を火災責任者に代わって立て替える方針を固めた。同市当局者が4日、明らかにした。民間の事故被害者に対する補償制度がないため、近く特別条例を制定する考えだ。
当局者の話では、補償金は60億〜90億ウォン(約4億6千万〜6億9千万円)を想定しており、被害者の国籍にかかわらず支給される。いずれは火災責任者に請求する考えだが、迅速な対応のため、市庁内に「事故補償支援本部」を設置して作業を進めている。市費のほか政府の中央省庁からも財政支援を受ける。
一方、この火災に関連して韓国の柳仁村(ユ・インチョン)・文化体育観光相は3日、ソウルに常駐する日本の記者団に対し、外国からの旅行者が韓国国内で事件や事故に巻き込まれた場合の補償の制度化を検討することを明らかにした。
日中韓3国では観光客の往来が増えているため、韓国でまず制度の検討を進めたうえで、いずれは補償の制度化を日中韓の観光相会談の議題にしたいと語った。
また、訪韓している外務省の深田博史領事局長は4日、釜山市庁でハイ泳吉副市長(ハイは哀の口が非)と会い、事件の再発防止や被害者への補償支援などを求めた。ハイ副市長は、対策本部を設けて積極的に対応していく考えを伝えた。