さまざまなテクニックが、コミュニティを生んだ
――「名古屋撃ち」や「レインボー」などといったテクニックがありましたが、あれは開発者としては想定外のことだったんですか?
西角氏:そうですね、私にしてはいい迷惑というか(笑)、基本的にはプログラムミスによるバグですからね。私の手が離れたところで皆さんいろいろと遊んでくれたみたいで。
和田氏:当時はプレイヤーはいろいろ試しましたからね。画期的だったのは、ゲームで友達との会話が成立したことですね。当時タモリさんが深夜放送でインベーダーのことを話していたんですが、それを聞いて友達同士で攻略法などを確認してましたからね。
「名古屋撃ち」は、インベーダーを「1匹+6列」など特定の配置になるまで撃ち(左画面)、最下段まで迫ったインベーダーを一気に撃つテクニック。「レインボー」はタコ型インベーダーを最後に1匹残すと画面に残像が残るという、ともにバグを利用したテクニックだ
――社会現象にもなった当時ですが、ゲームセンターの風景をどうとらえていましたか?
和田氏:プレイヤー側としては、喫茶点に入っていたのは大きかったですね。大学生になって、自分のお金でコーヒーも好きなだけ飲めましたから。当時は喫茶店に入ること自体がちょっと大人になったイメージがありまして、そこで勉強会や読書会をやるという理由でみんな集まるんですよ。本気ならゼミの教室でやればいいんですけど(笑)。
西角氏:開発した側としてはあまり興味がなかったですね。僕の中では発売した時点で過去のものになっちゃったという思いがあって、そのころはもう次を考えていましたから。実は発売後のゲームセンターにも行ってなくて、すごいブームになっていたという現場を直接見たことがないんです(笑)。
和田氏:本当に開発の鑑ですね(笑)。
西角氏:いやー、当時営業の取締役の人が発売後に「西角お前、もう遊んでていいよ」と言っていたのに、ブームが下り坂になると急に「お前なんか考えてるんだろうな!?」と手のひらを返されて、ひどいものでした(笑)。