インベーダー以前の西角作品『ウエスタンガン』の衝撃
――ゲームを楽しんでいた側の和田さんとしては、当時どんなところに面白さを感じていました?
和田氏:他と比べても圧倒的に飛び抜けていました。それまでにも面白いものはたくさんありましたが、インベーダーのような卓越したゲームデザインはなかったですからね。たくさんの敵が攻めてくるという発想は一切なかったですし。それと特にアナウンスはされてないのですが、ゲームからある種のストーリーや世界観を感じることができたんですよね。
実はそのまえに『ウエスタンガン』(1975年・タイトー)という西部劇を題材にしたゲームがあったんですが、そのときも衝撃的だったんです。以前西角さんとそのお話をしたときに「実はあれ僕が作りました」ということを聞いて納得したんです(笑)。
西角氏:最初に『ポン』という、向かい合って遊ぶピンポンゲームがありまして、その頃は画面のキャラクターをすべて長方形・正方形の四角形で構成していたゲームが多かったんですが、何か形があったほうがいいと思って、当時はいろいろ試行錯誤しましたね。
和田氏:西角さんのゲームはそれまでのパターンにないところを突いてくるのが素晴らしかったですね。その発想はどこから来ていたんですか?
西角氏:自分としてはそれほど画期的とは思ってなかったんですが(笑)、題材とするテーマがあふれていましたからね。今見るとテーマは出尽くしている感じもしますが、当時はほかに例がなかったおかげで何でもできましたからね。たとえばピンポンゲームも、うまく形を変えてバスケットボールのゴールみたいなものを描き加えることで目新しさが出ましたからね。常に他とは違うものを作っていくのが目標でしたね。
和田氏:インベーダーゲームが世界中に広まるきっかけは、そういう発想からだったんですね。