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宮崎正弘の国際ニュース・早読み

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宮崎正弘の国際ニュース・早読み

発行日: 2009/11/29


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   「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 
      平成21年(2009年)11月29日(日曜日)
         通巻2790号  (日曜版)
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(本号はニュース解説はありません)
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●◎ブックレビュー◎●BOOK REVIEW◎●書評◎●ブックレビュー◎●
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 満州で日本がおこなった行為は「サンタクロース」だ
  近代史解釈は蒋介石の悪質な情報操作で日本の評価が逆転している

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F・V・ウィリアムズ著、田中秀雄訳『中国の戦争宣伝の内幕』(芙蓉書房出版)
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 この本の原題は『Behind the news in China』で、1938年に出版され、翌年には日本でも翻訳がでた。1938年といえば、昭和13年。対米戦争はまだ開始されていない。
 反日の気運が燃え上がり、前年には通州事件が起こっている。
 中国は混沌の極みにあり、日本は満州国を建国したが欧米列強と鋭く対立し、やがてABCD包囲網が完成する。アメリカでは中国の悪辣な反日宣伝を懐疑し、日本の宣伝下手がアメリカの誤解をうんでいる事態を憂いたジャーナリストがいた。
 ところで当時の本書の翻訳は「伏せ字」が目立った。
理由はドイツに関しての記述で、当時の三国同盟の絡みがあり、ドイツ重視外交。だからドイツが中国で反日の企みをもつグループと接触していたりしたの情報は「伏せ字」にされた。訳者の田中氏はタウンゼントの『暗黒大陸中国』を発見され、翻訳されたことでも知られる近代史研究家。
 
 まず著者のフレデリック・ヴィンセント・ウィリアムズはどういう経歴なのか。
 いまから130年前、1890年に米国で生まれ、外人部隊に所属。その後、世界を旅行し、ジャーナリストの道に進む。サンフランシスコの新聞記者としてチャイナタウンの抗争事件を取材して有名を馳せたらしい。日支事変が起こる前から極東を取材旅行し、共産主義の脅威を目の当たりに目撃、プロパガンダによって日本が悪者にされている危険性に注目した。
 著者は近未来の日米関係の悪化を懸念し、ラルフ・タウンゼントらとともに警告を発したが、真珠湾攻撃後、当局より逮捕された。
アメリカは真実を語るジャーナリストが邪魔だったのだ。
米国にも当時、真実を知る人たちが多少はいた。議会でもただひとり日米開戦に反対した女性議員がいた。そうした人たちの活躍は妨害され、訴えた書物は消え、米国は日本への憎悪を掻き立てる。
 戦後釈放されたウィリアムズは復興が緒に就いたばかりの日本にやってきて、わざわざ長崎を訪れ、1956年にThe Martyrs of Nagasaki(長崎の殉教者)という本も上梓している。
  
 本書でウィリアムズは、1938年の状況をつぎのように書いた。
「極東の危機についてアメリカで書かれたすべてのものはほぼ一方の側に偏していた。一方の側だけから物語られている。あらゆる問題に二つの側があるはずである。もし一方の側だけから話を聞くならば、諸君は公平に状況を判断できない。我々アメリカ人は両方の側から話を聞くのがよろしい。この本を読む多くの人は、最初は日本側に味方をしていると思うだろう。しかしどれほど多くの本や新聞記事が中国贔屓で反日であるだろうか。しかもそういうものを「これは中国の味方をしている」とは言わないのだ。我々は日本に関するものよりも、中国に関して見聞きするものを疑いなく認識する傾向がある。実際問題として、この国には中国のプロパガンダが氾濫している。そして日本を弁護するものをほとんど見ないのである」。

いまも昔の日本人の自己表現力は乏しい。とくにこの時代は「武士は食わねど高楊枝」、「武士に二言はない」、「饒舌はおなごの特技、沈黙は金」という価値観が尊ばれた。逆宣伝はなされるままであった。言い訳をしないのが日本男児の美学だった。
その特性につけ込んで蒋介石は共産主義のスパイとも組んで悪質は反日デマゴギーをまき散らした。
ウィリアムズは満州にも足を伸ばし、いやはや逆宣伝とは裏腹に日本が満州に対して「サンタクロース」のように善意と善政を施している事実を目撃している。
ウィリアムズは続ける。
「アメリカは大きな決断の岐路に立っている。東洋のことに関する限り、今まで通りに盲目的にまっすぐ進んでいくこともできる。しかしまた、「騙されていた・・・・」と事実に目覚めて、太平洋の彼方の大きな帝国との貿易と商業に大きな利益を掴む契機を見出すか、それを他の国に取られてしまうかということなのである」。
 当時も今も中国が展開している謀略宣伝工作は、日本をそそのかして米国と対決に向かわせる嘘放送を繰り返すことだった。ところが日本は政治宣伝ならびに謀略に無知でありつづけ、『情報戦』にはまったく無防備だった。
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  ◎読者の声◎どくしゃのこえ◎DOKUSHA NO KOE◎読者の声◎
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(読者の声1)「普天間問題」で日本が早く妥協しないと、「環境分野において、アメリカと中国はすでに裏でつながっていると考えられる。そうなると日本は非常に厳しくなる」と話してきましたが、それが早くも具体的に現実のものとなりました。
 これは、オバマ政権が経済分野での新しいパートナーに中国を選んだことを意味しています。
アメリカと中国に世界標準の規格を握られたら、どうがんばっても日本に勝ち目はありません。
自動車の分野ではその先例として、車載LAN規格がすでにアメリカとヨーロッパによってそのほとんどが握られていますし、アメリカとヨーロッパの有力メーカーが特許として押さえているのです。
電気自動車が普及し始めれば、日本のメーカーはアメリカ、中国、ヨーロッパのメーカーに特許使用料を支払わなければならない状況が予想されます。規格の問題は非常に重要です。日本が独自の規格を採用できなければ、日本のメーカーは常に海外のメーカーの後塵を拝することになってしまいます。
今世紀の世界経済の一大テーマである環境分野において、日本は今、世界の趨勢から取り残され、追い込まれつつあります。日本の伝統とも言える国家戦略の欠如がこの事態を招いたと言えるでしょう。
もはや日本が取るべき道は一つしかありません。アメリカと中国に手土産を持っていって、協力関係に加えてもらうことです。
   (ZK生)


(宮崎正弘のコメント)オザワ訪中団は140名! お土産を山積みにして土下座してくるようです。足利義満の再来? いえいえ、足利は国際情勢がわかっていましたし、日本文化を理解していた。ミニ角栄を足利と比較するのは歴史上の人物に失礼です。



   ♪
(読者の声2)ワシントンポスト(11月26日)の「アフガン増派とオバマの躊躇い」記事とコメント集を読んだ。
2000もコメントが並んだが、飛ばし読み。5コメントぐらいが理性と知識があるものだった。
あとの99.99%は、理性も知性もない「憎しみ」に充ちたもの。知性のあるものは書き込まない? 悲観論がほとんどです。
増派演説の12月1日、ウオール街はどう反応するか? 
株価もドルも下げると思いますね。理由は簡単です。オバマに自信がない。オバマはどうも臆病な性格のようです。
七面鳥を恩赦する儀式の最中、突然、ビクっとした。娘がオバマの横腹に触ったのを七面鳥に突付かれたと勘違いしたとテレビに映ってしまった。
(伊勢ルイジアナ)


(宮崎正弘のコメント)そういうディテールな情景情報がほしいところでした。鳩山の豆鉄砲を食らうと目を丸くする顔に似ていましたか?
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(休刊のお知らせ)小誌、海外取材のため12月2日―8日が休刊となります。
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(C)有限会社・宮崎正弘事務所 2009 ◎転送自由。ただし転載は出典明示。
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