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比女性入国巡り580万円余収賄容疑 東京入管職員逮捕

2009年12月4日15時28分

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 フィリピン人女性らの入国審査で便宜を図る見返りに現金580万円を受け取ったとして、警視庁は4日、東京入国管理局成田空港支局統括審査官の小倉征史容疑者(54)=東京都新宿区四谷4丁目=を収賄容疑で逮捕した。芸能プロモーターで東京都渋谷区の会社社長伊東信悟容疑者(46)=杉並区高井戸東1丁目=も贈賄容疑で逮捕した。同庁は、両容疑者とも容疑を認めているとしている。

 興行ビザ(査証)の発給が2005年以降厳格化され、フィリピン人ダンサーの来日が困難になったことが事件の背景にあると同庁はみている。

 捜査2課によると、小倉容疑者は東京入管横浜支局と成田空港支局に在籍中の07年7月〜今年11月、伊東容疑者が呼び寄せたフィリピン人女性らの在留資格認定証明書の交付を申請した際に、審査で便宜を図った謝礼などとして、現金580万円を受け取った疑いがある。

 小倉容疑者はこの間毎月20万円ずつを自分や知人名義の預金口座に振り込ませていたという。受け取った金は遊興費などに充てていたと同課はみている。小倉容疑者は横浜支局で統括審査官を務め、08年4月に成田空港支局に異動した。

 在留資格認定証明書はビザ発給に必要。渡航目的や滞在先、働く場合は勤務先などを記し、入国管理局が審査し交付する。統括審査官は審査の実質的な責任者という。

 法務省によると、興行ビザは演劇や演奏、スポーツなどの興行を行うために入国する外国人に発給される。しかし、ダンサーとして入国しながら、パブやスナックでホステスとして働くフィリピン人女性が後を絶たず、不法就労や偽装結婚などの温床にもなっていた。

 こうした状況に対し、04年、米国務省の人身取引報告書がフィリピンパブの実態を非難して日本を「要監視国」に認定した。これを受け法務省は審査を強化。05年3月に改正省令が施行され、それまでフィリピン政府発行の芸能人認定証があれば認めていたのを、認定証だけでは興行ビザを発給しないようにした。

 捜査2課によると、この厳格化に伴い、東京入管本局ではフィリピン人に興行ビザがほとんど発給されなくなった。このため伊東容疑者は川崎市内に実体のない事務所を設け、横浜支局に申請するようになった。伊東容疑者は「小倉容疑者が申請内容が虚偽と知りながら黙認してくれた」と供述しているという。

 法務省によると、興行ビザによる入国は04年が約13万4800人で、そのうちフィリピン人が約6割の約8万2700人を占めた。08年には全体で約3万4900人、うちフィリピン人は約3100人に激減している。

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