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著者インタビュー メディアジャーナリスト渡辺真由子さんに聞く

宮沢さかえ2008/10/25
新潮新書『ニッポンの評判 世界17カ国最新レポート』の中の『「HENTAI」ポルノは世界標準―日本発AVソフト』というレポートを書かれたメディアジャーナリストの渡辺真由子さんにお話を伺いました。渡辺さん曰く、「ポルノ・リテラシーをもっと深めていきたい、ポルノの読み解き方を女性にも男性にも知ってもらいたい」と。
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■プロフィール:<br>
渡辺真由子(わたなべまゆこ)さん<br>
メディア・ジャーナリスト。慶応義塾大学メディア・コミュニケーション研究所非常勤講師。
元テレビ局報道記者。ジェンダー、セクハラなどの女性問題や、性同一性障害、自閉症、若者の性行動などを中心に取材。
2005年より2年間、カナダのサイモン・フレイザー大学メディア分析所でメディア・リテラシーを研究。帰国後はメディア教育に協力するほか、雑誌やテレビ、講演で活動中。
■プロフィール:
渡辺真由子(わたなべまゆこ)さん
メディア・ジャーナリスト。慶応義塾大学メディア・コミュニケーション研究所非常勤講師。 元テレビ局報道記者。ジェンダー、セクハラなどの女性問題や、性同一性障害、自閉症、若者の性行動などを中心に取材。 2005年より2年間、カナダのサイモン・フレイザー大学メディア分析所でメディア・リテラシーを研究。帰国後はメディア教育に協力するほか、雑誌やテレビ、講演で活動中。
 2008年8月31日に新潮社から発刊された、『ニッポンの評判 世界17カ国最新レポート』の中の『「HENTAI」ポルノは世界標準―日本発AVソフト』というレポートを書かれたメディアジャーナリストの渡辺真由子さんにお話を伺いました。渡辺さんは、昨年11月に「今週の本棚」で紹介された『オトナのメディア・リテラシー』(リベルタ出版)の著者でもあります。内容が関連しているので両方に関わる内容をお聞きしました。

ジャパニーズガールは最高?!
宮沢:日本で作られたAVやポルノ雑誌が世界に広まっていて、それがどう見られているか、また日本人がこういうイメージだと見られているということがこの本に書かれていますが、その辺りの実態を、渡辺さんが聞かれたり見られたりしたことでお聞かせいただけますか。

渡辺:私はこれまでオーストラリアとカナダとハワイに住んだことがあるのですが、カナダは特に語学学校に通っている日本人が多いんです。で、その日本人の女の子は基本的に(語学学校の中で)群れがちなんですね。そうするとなかなか英語が上達しないので、手っ取り早く英語を上達させるためにカナダ人の彼氏がほしいという考えになるんです。

 語学学校というのは大抵街中にあるので、そこにクラブとか出会いの場所もいっぱいあり、そういうところに積極的に出かけて行っていろんな人と出会って、例えば家に誘われたらそのまま家に付いて行っちゃったりとかっていう話はよくありますね。

 カナダ人も自分たちが日本人からモテるというのを知ってますから、特に白人の男性の場合は、積極的に日本人を狙って、そういう出会いの場に出かけている人たちって結構いるんですね。

 で、彼らから見ると日本人の女の子っていうのは、優しくて肌がきれいでかわいらしくて、従順で軽いというか。イメージはAVを観ていてもあるし、実際に日本人の女の子と接していてもそういう印象を持つらしいんですね。声をかけたらすぐに付いてくる。で、すぐモノにできる。お金も払ってくれる。そういう話はゴロゴロしている。

 その日本人の女性を好きなカナダ人の男性同士の情報交換の場みたいなのがネット上にもあるんですよ。ジャパニーズガールは最高だよね、みたいな。

 カナダ人が日本に関する情報に接する場所って限られているんです。カナダのニュースに日本のことはそんなしょっちゅう登場するわけではないので。けれども、ちょっとネットを検索したり、AVを観てみれば、日本製の物がたくさんあるわけですよ。そうなると、どうしても日本に対するイメージはそこに偏っていく傾向があるんです。

 私が一時期ハワイにいた時も、日本製のAVがあちこちに売られていて、町のコンビニみたいなところでも売ってるんですけど。日本人の女の子もたくさん観光でやってくるじゃないですか。そうすると、ものすごく声をかけられるんです。例えばある時私が浜辺を歩いていたら、男性の2人組があれは何人だと話しているのが聞こえてきて、どうやら日本人らしいぞ、声をかけようみたいな。

宮沢:そういうことがあった場合は渡辺さんはもちろん、愛想良くしたりはしないですか。

渡辺:しないですね。たまに、私は香港人ですとごまかしたりしてますけど。「I'm from Hongkong.」とか言って。

宮沢:そうすると納得しますか。

渡辺:ええ。そうすると、ああそうなんだとか言って離れていったりはします。

宮沢:カナダで日本がニュースになるのはどのようなことですか。

渡辺:最近だったら秋葉原の事件が起きた時とか、大きい事件が起きた時になるんですよ。Iフォンが日本で発売された時とか、そういう技術の先端を行っている国というようなイメージとか、最近少年犯罪が増えてきた国とかそういう一面の報道はあるんですけれども、日本人そのものが普段どういうライフスタイルでどういう性生活をおくってというような話というのは全然上ってこないわけなんですよね。

 オーストラリアにいた時も、たまに日本のニュースが出たと思えば、最近援助交際が流行っているらしいとか、あんな金持ちの国民なのになんでだろうとか。そういう取り上げ方ですよね。

宮沢:そうすると、“日本人の女性”といった時には、真っ先に思い浮かぶのは、AVなんかに出てきて、従順に男に尽くすタイプに見えるんですかね。言うなりだったりとか。

渡辺:そうですね。まあそのAVのイメージプラス現実に日本人の語学学校の女の子たちと遊んでも実際そうだから。もちろん、まじめに勉強している人もたくさんいると思うんですけれど、カナダ人の男の人と積極的に遊ぶ人となると、ある程度限られた方になるんですね。

著者:今井佐緒里<br>
出版社:新潮社<br>
定価:700円+税<br>
発行日:2008年8月20日
著者:今井佐緒里
出版社:新潮社
定価:700円+税
発行日:2008年8月20日
日本人女性も描かれた像に合わせようとしている
宮沢:もう1つショックというか、ああそうなんだと思ったのは、そういう日本人の女性たちも、AVだったりこのように表わされている女たちのようにしなくてはいけないと思っているんですね。私なんかだと反発しちゃって、そうじゃないってするかなあと思ったんですけど。

渡辺:たぶん、女の子がAV見るときって彼氏と見る時も結構あるんですよね。(1人で見る時もあると思いますが)そういった中で、どういうことが行われているのかそれで見て、彼氏にこれ真似してみようよとか、これやってみてとか言われたりしてその求めに応じているっていうんですよね。

 ここで1つ問題なのは、他人がどういう性行為をしているのかというのは、ポルノぐらいでしか知ることができない訳で、情報源が非常に限られているわけですよね。で、ポルノっていうのはいわば本来ファンタジーであるわけなんだけれども、それが教科書みたいになってしまって、そこで行われていることを現実にも役立てよう、それをお手本にしているというのがあるので、日本人の男の子にしては、そこで行われていることは試したくなるし、女の子としてもああ、こうやった方がより色っぽく見えるんだろうなとかより喜んでもらえるんだろうなという意識があるんだと思いますね。

宮沢:それを見て自分が興奮するということは元々想定されたものだと思うんですけれども、実際に試してみるということは作り手としての狙いとして元々あるんでしょうか。

渡辺:やっぱり作り手としても、AVはある程度規制があるわけで、モザイクもかけないといけないし。そういった中で、いかに視聴者を引きつけるかっていうと、普通にやっているだけじゃ、いわゆる映像作品としても面白味はそんなにないわけですね。だったらその中で、(テレビが視聴率を上げたいのと一緒で、)いかにバラエティに富んだHを開発していくかというのがあると思うんですけれど。でも、日本製のAVは、暴力的なものが多いというのが問題だと思いますね。

宮沢:出演している女性は、暴力だと思っていないんでしょうか。声を上げている人たちっていうのはいないんですか。

渡辺:屋外でこういう撮影をするからっていうようなことを言われて行ってみたら、非常に乱暴な扱いをされた。実際に体に傷つけられたり、死にそうな目にあったという女優さんが訴えたりという例はあるんですよ。

宮沢:裁判になってるんですか。

渡辺:裁判になってます。

宮沢:結果はどうなったんでしょうか。

渡辺:制作会社のトップに懲役18年の判決が出ました。例えばプールの中に沈められて呼吸困難になったとか山奥の廃小屋に連れて行かれて複数の男性に乱暴なことをされたとか、もう演技を通り越してすごい恐怖の中で行われている。それがまた迫真の、リアリティのある作品として人気が出てっていうことなんですよね。

宮沢:実際、そういうのは売れているんですね。

渡辺:売れてますね。

宮沢:何のときでもそうでしょうけれども、それを求める人がいると作るっていう論理になるんでしょうね。作る側や販売する側からするとそう言うんでしょうね。

渡辺:でも、求めていても与えなければ良いわけで。


日本人女性のイメージを変えたい 
宮沢:『日本の評判』の渡辺さんのレポートの最後の方で、「女性向ポルノやレディコミ(レディスコミック)も輸出してはどうか」と書かれていましたが、もちろん逆説的というか、本当にそうしたいというんじゃなく書いていらっしゃるという解釈で良いですか?どんどん出したいという意味ではなくということですよね?

渡辺:そうですね。つまり、冷や水をあびせるというか。今、世界で発信されている日本人女性のイメージというのは、例えばすごく恥じらっていたり従順だったりするという部分であって、それがより男性を興奮させたりとか、女性に対する支配欲とか征服欲をかきたてるところがあると思うんですけど、実は日本人の女性も全然そんな恥ずかしくなんかないんだよ、積極的に動くこともあるんだよということを、メッセージとして伝えていくために、レディスコミックとかを輸出してはどうかということです。

 もっと少し冷静になってほしいというか、日本人の女性が一方的に受身であるというイメージを変えたいと思うんですね。今、振り子がグーッと片方に振れているものを真ん中に戻すためにあえて女性向けのポルノとかレディコミなどを輸出してはどうかということを言っているんですね。

 私が、女性向けレディコミと男性向けポルノを見てすごく違うと思うのは、男性向けポルノは本番がメインというか、挿入そのものがメインなんですよね。でも、女性向けのレディコミていうのは、むしろ所謂前戯をすごく丁寧に描いていて、女性って別に挿入だけじゃないじゃないですか。もっと全体の流れが大事だったりしますよね。そこら辺を丁寧に、より注目して描いているなと思うんですけれども、男性誌はその辺がお座なりで。

宮沢:そうですね。そのものずばりとか、そのものだけを描いていたりしますね。そういうイメージを、真ん中に戻すためにどういうアプローチができると思っていらっしゃいますか。

渡辺:私が今考えているのは、ポルノ・リテラシーをもっと深めていこうと思っていて、ポルノの読み解き方を女性にも男性にも知ってもらいたいと思うんですね。男性にとっては、別にポルノに描かれた女性が決して現実の本物の女性ではないし、それが作られる過程には、製作者側の意図とか女優さんも子どもの頃に虐待されていて自傷行為とか、複数の人とやってしまう人もいるし。子どもの頃の性的被害とかあって、それがトラウマになって、自分を大切に思えなくなっていろんな人と関わりを持つようになるという人もいるんですね。

 そういう現実があるということを知ってほしいし、例えばメディアがそういう女性たちを面白おかしくセンセーショナルに取り上げて、その取り上げる中で女性たちも私は好きでやっているのよと言ってしまっているんですけれども、それはメディアに出るんだからそう言わざるを得ないわけで、決して本心はそうではないと思います。

 そういうことを、そういう女性たちを取材して本音を引き出してみたいし、一般女性に対しても、そこで描かれている女性像に合わせる必要がないんだということ、嫌だったらはっきりノーと言っていいんだとか、もっと自分を大切にしてほしいみたいなことも伝えていきたいなと思います。

宮沢:そういう渡辺さんが思うことを伝える場は今までにもありましたか?

渡辺:私はテレビ局に6年半いたんですけれども、その間に非常に興味あるテーマだったんですよ。ポルノに女性がどう描かれているかとか。でも、やっぱりそれは著作権の問題とか公共の電波を使って流せる画像とか映像とかがないということもあって、すごくもどかしかったんですね。

 そういう女性に対する差別とか女性に対する暴力とかをテーマにしようとすると、なかなか上層部の男性たちのOKが出ない、理解してくれない。

 おそらく女性の半分はよく言ってくれたと思うけれども、女性の全てがジェンダーに敏感な訳ではないので、「え、それは考えすぎじゃないの?」と思う人もいますよね。もちろん、男性もおそらくそう思うだろうし。

宮沢:まだまだ日本の中では難しいけれど、でもこうやっていかないと何も変わっていかないですしね。

渡辺:そうですね。特に暴力的なポルノなんていうのは、今日本でいろいろ起きている性犯罪の中で加害者の供述とかを調べると、ポルノに影響されたっていう供述が結構あるんですよ。それを見てムラムラして。そういうことが実際起きているのに、暴力的なシーンを規制しないっていうのは、すごくおかしいと思うんですよね。

 一般社会だったら犯罪になるじゃないですか。その犯罪行為が性欲を掻き立てる手段として扱われていて、それが認められているっていうのが何かねえ。

宮沢:他の規制に比べてなぜその辺が緩いんですかね。

渡辺:やっぱりそれは、男性が男性のために作ってきているんで、男性の都合の良いように作られている。ビデ倫の担当者もみんな男性だし。

宮沢:そうすると、今の日本の社会の中で、渡辺さんが主張したいようなことを言えるとすると、個人的な集まりだったりとかシンポジウムみたいな場所で話すこととや、今回のように書くことになりますか?

渡辺:ポルノ・リテラシーを深めた本を出そうかなとは思っているんですよね。女性編集者で、ジェンダー意識の高い方やそれ系の本を扱ってきた方もいらっしゃると思うので、そういう方がこういうテーマに着目してくれたら良いですよね。

 AVと関わるということは、女性の体が簡単に見られてしまうということで、(風俗もそうだけれども)女性が、簡単に手に入る物扱いをされているわけですよね。それは言ってみれば、女性の尊厳が低くなっているということだと思います。

 私、風俗なんかもすごく疑問なんですよ。

宮沢:働いているのは女性になりますよね。で、その人たちからすると、何で悪いのという話になるんですかね。

渡辺:彼女たちは、自分の性が価値ある商品だということを思い込まされているから、自分の体を使って何が悪いのっていうことになるんでしょうかね。ただそれが、世間一般の女性にどういう影響を及ぼしているかということまで思わないでしょうね。もしメディアを通して広く知られるようになれば、また変わってくると思うんですけど。


メディアリテラシーと教育が大事
宮沢:渡辺さんが、こういう考えをお持ちになったのは、元々だったんですか?何かきっかけがあったりしましたか?

渡辺:たまたま私が大学の時に、心理学とか精神病理学とか女性学を専攻していて、その際に色んな本を読んだんですけど、その中で、セクハラに関する本とか、女性問題の本を色々読む中で、自分が大学の中にいるとすっかり女性も男性も対等だと思っていたけれども、そうじゃないんだということがわかってきて、そのままじゃ困ると思って。

 自分も女性であるということで不愉快な目に遭ったことはちょこちょこあって。社会人になってから例えば、おかしいなあと思ったんですけど、例えば会社の男性たちと女は私1人でお鍋を食べに行ったら、そこのお店のおかみさんがお玉とお椀のセットをみんなの人数分持ってきて、それを私の前に置くんですよ。でも、私たちのグループには、私より後輩の男の子もいるんですよ。でも、女は私1人で。そしたらおかみさんは私の所に持ってくるんですね。何なんだこれはと。

 なんで女性であるというだけでそういうことを求められるんだっていうのが非常に不愉快だったですね。

宮沢:ご家庭がこういうことを話たりする方だったんですか?

渡辺:いや、そんなことはないですね。

宮沢:そうすると、渡辺さんご自身がご自分の考えや体験からこのような考えを持たれるようになったんですね。お仲間にも同じような考え方をする人はたくさんいらっしゃいますか?

渡辺:いや、少ないですね。例え女性であっても、いわゆるフェミニストって悪いイメージがあるじゃないですか。そういうイメージがあるから、ああいう女性問題で闘っている人たちとは一緒にされたくないみたいなのがあるんですよね。

 やっぱりそれは、そのイメージを作り上げて来られたことも問題だと思うんですけれど。女性も立場が悪いということを認めたくないということもあるみたいで、私は全然そんなことはないよっていうことがあるみたいですね。

宮沢:女自身も変わっていかないといけないこともたくさんあると思うんですが、どっちかっていうと男の人たちの方が認識とか感覚を変えてもらわないとなかなか動かないところがあるということが多いですよね。

渡辺:大体男の人の方が声が大きくて発言力がある立場にあることが多いので、彼らの意見がそれだけ優位になってしまう、支配的になる。ただ、『オトナのメディア・リテラシー』にも書きましたけど、芸能人の結婚の時の会見の女性リポーターの質問はなんなんだって思いますよね。「ご主人にどんな手料理を作ってあげたいですか」っていうのがお決まりで。同じ質問を男性芸能人にしようとはしない。「主人」という呼び方自体も問題ですし。

 私も一時期芸能コーナーのディレクターをしていたことがあって、自分が結婚会見のVTR作る時には、できるだけそういう質問は省いていました。

宮沢:怖いですよね。何気なく受けている感じでも、そういうイメージであったり考え方は刷り込まれますよね。

渡辺:もうそれが当たり前になってしまいますよね。疑わなくなっちゃうんですね。

宮沢:このようなことが変わっていく可能性はあるんでしょうか。

渡辺:変わっていくのは難しいですよね。視聴者も、より頭を使わなくてよいもの、娯楽へ娯楽へと流れる方が多いと思うんです。視聴率がバラエティの方が取れればその方が良ければそういうものを作り続けていくので、やっぱり視聴者の側からも、もうちょっと厳しい意見というか、私が求めている物はこんな物ではないというような声を上げていくのは必要だと思いますね。

宮沢:ところで、渡辺さんはいつも「女男」とか、少女少年」と、一般的な言い方を入れ替えて書いていますよね。それは意識して書いていらっしゃるんですか。

渡辺:そうですね。『オトナのメディア・リテラシー』でも書きましたけど、言葉は現実を作っていくんですよ。これまでずっと「男女」って言われてきていて、何で男性が常に先にくるのかっていうのに誰も疑問を抱かないのはおかしいと思って。別に常に女性が先である必要もないけれど、どっちでも良いと思うんですよね。だから、今は新しい表現を作っていこうとしている段階ですね。

宮沢:女男と書いた時に読み方は「じょだん」で良いんですか?

渡辺:じょだんです。

宮沢:この言葉がとても目について、これは渡辺さんがおっしゃりたいことそのまま使ってらっしゃることがすごくうれしかったです。気がつかない人もいるかと思ったんですけれども、そういうところにも自分の主張をしたりしていくってすごく大事だなあって思います。

宮沢:それから、これも『オトナのメディア・リテラシー』に書いていらっしゃいますけれども、情報に流されないようにしたり読み解くには、自分で選び抜いたり判断する力とか知識が備わっていないとできませんよね。そのためには、教育が必要ということになるんでしょうか。

渡辺:そうですね、教育ですね。ネットの世界だけの情報モラル教育っていうのは始まっていて、それは私がこの間出した『大人が知らないネットいじめの真実』っていう本に紹介しているんですけれど、メディア・リテラシー全体としては、国もその教育が必要であるというような提言はしているんですけれど、未だ教育指導要綱にも書いていないんですよね。関心のある教師たちが一部でやっているだけでなかなか広まらないですよね。

 また、マスコミでももっともっと取り上げてほしいと良いと思います。JanJanでも、これからも取り上げられると良いですね。

 ◇

<インタビューを終えて>

 日本のメディアであまり取り上げられることがない、「メディア・リテラシー」やタブー視されがちな性に関する問題やジェンダーの問題がこれから注目され報道されていくためにも、渡辺さんにどんどん発言し情報を発信してほしいと思いました。

 また、学校でメディア・リテラシーに関する授業をするときには、ぜひ渡辺さんのような方を呼んでほしいと思います。

 「JanJanでもこういう問題が取り上げられると良いですね。」という渡辺さんの言葉は、インターネットメディアであり、またオルタナティブのメディアだからこそ発信できるものを再確認することができました。
◇ ◇ ◇

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