機動戦士Zガンダム ホットスクランブル
バンダイ 1986年8月発売

記念すべきガンダムゲームの家庭用ゲーム機用第1弾。開発を手がけたのは遠藤雅伸氏率いるゲームスタジオ。本製品の発売時に1000名限定で「ファイナル版」と呼ばれる別バージョンのプレゼントキャンペーンが行われた。

今回は「機動戦士Zガンダムホットスクランブル」ファミコンミニ版での復活を記念して、ゲームの作者、遠藤雅伸氏に当時の状況やガンダムゲームに関してインタビューさせていただいた。なお、インタビューにはGCソフト「機動戦士ガンダム 戦士たちの軌跡」のディレクターであるベック後藤氏氏にも同席していただいている。


■ Zガンダムホットスクランブルが生まれるまで
――まず、Zガンダムホットスクランブルができるまでの経緯をお聞かせ下さい。

遠藤氏:もともと、「ガンダムのゲーム作りたいなー」っていうのがあったんですけど、ある時にバンダイさんと何か一緒にやりましょうよという機会があって、どうすればガンダムが出来るのかなぁっていう形で話を進めていたんですよ。それをやってる頃に、「会社(ナムコ)をやめる」みたいな話が出てきて。じゃあ社外に出てやってみよう!ということで、「ガンダムはとにかくやりたいよ!」ってことをバンダイさんに話をしにいったんですよ。

――ガンダムだったんですか?Zガンダムじゃなくて?

遠藤氏:いや、Zガンダムだったんですよ。最初から。バンダイさんは、ファーストじゃなくてなぜZ?って随分言われたんですけども。僕が永野護先生の描くメカの大ファンだったので、とにかくZがやりたいんだと。バンダイさんもじゃあ「思いっきり作って下さい」といってくれて作り始めたというのが経緯ですね。そういうことでやり始めて、橋本名人がプロモーションでついてくれたり、富野さんのところにもいって「スミマセン、こういうものやります」って挨拶にいきました。

■ Zガンダムホットスクランブルとは
――Zガンダムホットスクランブルはどのようなゲームなのでしょうか?

後藤氏:「ゲームの形は、こういうのにしたい」ってのは決まってたんですか?

遠藤氏:その頃のゲームの形は、これ(ファイナル版)ですよ!「思いっきり3Dだよ、本気で3Dやろうぜ!」って。
その時にコクピット視点の宇宙戦ゲームを試作してたりするんですよ。これが今でもROMあるんで遊ぼうと思えば遊べるんですけど。液晶シャッター使った3Dで。ホント3D計算してて。こう、立体的に見えて。パースを付けた敵機を左右の視差込みで作って。このことをプログラマーがやってて。すごいねーって。

――ファミコン用で?

遠藤氏:そうそう、ファミコン用。ファミコンなんだけど、画面の部分が真四角に奥がスゥーっと、なんか奥行きがあるように見えるんですよ。暗いところに星とかを表示するだけで、星とか収差だけなんで、なんかすごく奥行きが見えるんですよ。普通のベタな絵じゃなくて、真っ暗な中に星しかないようだとすごく立体感つきますよね。

一同:あ〜なるほど。

遠藤氏:それを使って、Z軸(奥行き方向)をちゃんととったゲームを作ろうと、3Dで。今で言うFPS(ファースト・パーソン・シューティング)ですね。今やりゃカッコいいんだけどね。その当時、早すぎました(笑)概してそういうの多いんですけど、僕の作るものの中には。

後藤氏:いいですね。ファミコンでそこまでやろうって思うところが。最近、今なんかもう「ここまでしか出来ないからここまでにしちゃえ」みたいなこと結構多いんですけど。やっぱり「ここまでやろう!」みたいな…

――攻め込み体質!

遠藤氏:ゲームの思想はですね、「広い宇宙空間の中で見通し距離はどのくらいか?」っていうことをまず考えたんですよ。宇宙は空気無いし見通し距離って結局数十キロまで見通せるワケじゃないですか。その中でたかだか高さ20メートルくらいのものがいたとして、さあ、それが1小隊三機とかね、2小隊六機とか空間に展開してた場合に、どういう戦闘になるのか?ということを考えるとほとんどが索敵戦になるだろうっていう。例えば、20キロ立方のところに6機いたとしてお互いがどこにいるか見つけようがない。見つけたら「いたっ!」いってガアーって撃って当たるか当たらないかっていうモビルスーツ戦になるんじゃないかな。格闘戦にはほとんどならない、宇宙空間では。この前提をもとに、相手を索敵するってことをメインに…こう、索敵してターゲットの中におさえて、「ビーム!」っていうところを…FPS以外考えてなかったんで(笑)。一番カッコ良いんで。パイロットになりたいんで(笑)

――20年早いですね、思想が(笑)

後藤氏:すごい早すぎますね(笑)

遠藤氏:相手の方向が画面にピピピピピ…って出るんですけど、相手はどちらの方向にいるかしか分からないんですよ。それに狙いをつけて旋回していくんですね。噴射ボタンみたいなのがあるんですけど、押すと上に逃げるんですよ、機首が、クッと。逃げてそのあと、前に進むんですよ。それはなんでかって言うと、撃たれる!って分かった時にパっと押すと上方向に逃げることができるからです。押し続けると "進む"っていうことになる。バーっと進みながら敵を索敵、近接してって敵MSが正面の視界に入る。でも、遠距離だとモニターに見えないんです。そうすると先にマーカー(照準)が見えるんですよね。MSより先に。最初1ドットの点かなんかで。宇宙の中にある点が星とちょっと違う動きをして、「そこだっー!! 」ビーって撃って当たれば最高です(笑)

一同:すごい!!すごすぎる!!(爆笑)

遠藤氏:これはとにかく最高で。そこにカタルシスがある、というゲームなわけですよね。

■ ファイナル版と製品版の違い
――ホットスクランブルにはファイナル版と製品版があるのですが、その違いは?

遠藤氏:ファイナル版は敵の動きもZ軸(奥行き方向)を持っていて、敵の思考にもモードっていうのがあって。敵の動きに「索敵」とか、「牽制」とか「強襲」とか「奇襲」とか色々なモードがあるわけですよ。「奇襲」っていうのは、急激に近づいてきて、撃って、あっという間に離脱するんですよ。そういうパターンなんです。「強襲」っていうのは、思い切り弾撃ちながらガアーって攻めてくるっていうパターンなんですよ。そういうパターンの中で、現状どういう作戦を今とるべきかっていうことを、スイッチしながら状況判断して、「よし、敵の後ろに回った、奇襲だ!」っていうと後ろからガアーっと攻めてくる(笑)

後藤氏:敵は空間中に何体か出てきたり…?

遠藤氏:そうですね、数は決まってます、最初に…。ファイナル版ってやったことないんですね?

――持って来ました。

遠藤:初めて見たよ。(笑)

――もらえなかったんですか。(笑)

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なんとここから、実際にファイナル版をプレイ!遠藤氏のナビゲーションにより急激な上達をとげ、次々と面をクリアしていく一同であった。
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後藤氏:面白いです!大人のゲームですね。

遠藤氏:僕らがその当時、面白いと思って作ったゲームで、かなり3Dとか、敵の動きを真面目にやってたという…。

――これ(ファイナル版)が最初にできたんですか?

遠藤氏:そうです。で、(ファイナル版が)完成して、じゃあ実際のユーザーに見てもらおうってことで、モニターに出すわけですよ。モニターはバンダイが集めてきた小学生で、そしたら「Zガンダムはどこで出てくるの?」って(笑)。人気のモビルスーツってあるじゃないですか。Zガンダムとか百式とか。人気のある方から、出てこないんです。画面に表示されるのは敵の画像のみなので。それから敵もしっかりと回避するんで、「敵がいない!」「撃っても敵に当たらない!」撃って敵に当たらないことを喜べる大人と喜べない子供の違いが出てしまった。

一同:ああ〜(納得)

遠藤氏:敵MSが撃った時にシュっと回避するじゃないですか。「ちくちょう、回避しやがって」っていうことで「オォッ!」っと熱くなる大人と「つまんない、当たんないんだもん」っていう子供というのがあって。

後藤氏:もし自分が子供の頃に、これ(ファイナル版)を遊んでても、つまんなかったってことはないような気がしますけどねぇ。

遠藤氏:いや、それはもうかなり大人ですよ。だから高校生くらいになるとこういうゲームもいけるんですよ。僕はそう思います。メインターゲットが小学生だから、ってことでそのモニターをとった結果がこれで。みんな当時、○ーニーズの方が面白いって。

一同:○ーニーズ・・・(爆笑)

遠藤氏:あとね、「敵を出てくるようにしてくれ」って。敵小隊が面のスタート時に展開するじゃないですか。小隊単位でしか出さないんで。あと、リーダー機がたまに3の倍数プラス1とかっていう形で出てきますけど。そういうのじゃなくて、「ドンドンドンドンドン敵を出してガンガンガンガン敵をやっつけるゲームにしてくれ」っていう。あと、「もっと当たりやすくしてくれ」って。「簡単に敵をやっつけられるゲームにしてくれ」って。

後藤氏:残念ですね。これ(ファイナル版)はゲーム性もバランスも素晴らしい具合で出来ていると思うんですけど。


遠藤氏:あとはZガンダム自身が出てくるようにして欲しいっていうことで。この辺ね、ビームライフルの先だけ見えてる(笑)

――これ(ビームライフルの先)がZガンダムですか・・・。

遠藤氏:そうそう、これで「ガンダムは出ている!」って言い張りたかった(笑)さらに変形するところを見せてくれってことで、追加の面(横スクロールの面)を入れたわけなんですけど。この面はこの面で微妙な操作感で…(笑)。

――この面(横スクロール)が○ーニーズですか(笑)。

遠藤氏
:これホントに○ーニーズだもんね。一生懸命○ーニーズは面白いからあれを入れろって。

遠藤氏:で、その面(横スクロール)が出来て、でまあこれ(製品版)が出来て、でバンダイに見せたら「これ(製品版)は面白い」ということで。そっちの方が面白いのかぁって疑問を持ちながら、まあでもバンダイさんの好きな方でやって下さいっていうことでこれが発売になって。そのあとやっぱもったいないなぁっていうことでファイナル版という形で出して頂いた。

後藤氏:ファイナル版が今オークションで高値で取引されるご時勢だと思えば、やっぱり出しとけばそれなりに売れたんじゃないかなぁって思うんですけどね。

遠藤氏:いやあ、売れないでしょう。絶対、どう考えてもこっち(製品版)の方が。今だから言える話としては。その後いろいろ"Zガンダム被害者の会"って呼ばれる(笑)現在30歳前後の人達は、このZ(製品版)はつまんなかった、という評価なんですけど、今20代中盤以下の人達はもうこのZが青春だったっていう人がいっぱいいる。だから「なんでみんなそんな悪く言うの?」「なんで?あのZ面白かったよ?」「ファミコンの中で5本の指に入る面白さだよ?」っていうのはやっぱり若い世代に多いんですよ。

後藤氏:たぶん、ちっちゃい頃に遊んでた人がハマって…。

遠藤氏:このへんの熱の差が、この2つの。(ファイナル版は)作品として…「作品」「商品」っつてますけど、商品としては絶対こっち(製品版)だと思いますよ。

後藤氏:「これが若さか・・・」(笑)

遠藤氏:そうですね(笑)僕は若いうちは、21世紀になってから、ユーザーをちゃんと見てゲームを作るという、自分がターゲットとするユーザーはどのへんだってことをちゃんと見据えてゲームを作るようになってますけど、作り始めた頃は自分が作りたいものを作ってるだけで、ユーザーなんか無視なんですよ。…とにかくユーザー無視!まるっきりユーザー無視!

後藤氏:最近、自分も考えなきゃなぁと思って…(笑)

遠藤氏:とにかくまるで無視してたんで。で、その結果がこれ(ファイナル版)ですよ。だからこういうゲームを作りたいから作ったんであって、こういうゲーム(ファイナル版)が好きな人達はいるわけですよ。で、その数はどのくらいかって言った時に、まあたかが知れてるわけで、やっぱりマニア層、コアユーザー向けになっちゃうわけじゃないですか。これ(製品版)は明らかにライトユーザーに向いているわけですよ。で、この方向性みたいなのの違いかな。出た当時は「ちくしょう、こんなもん出やがって」っていう気持ちも隅にあり、でも40万も売ってくれたんで、おかげで設立した会社もうまく回るようになったし、っていう。でも当時だとバンダイさんにしてみれば40万本しか売れなかったっていうことになると思うんで…

――:他のファミコンソフトだと200万本は売れていたころですよね。でも、何ですかね…40万っていっても十分儲けは出てるはずですよね。

遠藤氏:だって、かなり、儲けが出てるはずレベルの話じゃないですよ。

後藤氏:そりゃそうですね。

遠藤氏:今でも40万出れば…

後藤氏:ねぇ(笑)もう素晴らしい。

後藤氏:開発期間みたいなものはどのくらいだったんですかね?

遠藤氏:期間はどのぐらいだったのかなぁ…1年はかかってないような気がしますけどね。最初これ(ファイナル版)作って、それから数ヶ月でこちら(製品版)に持ってきてるんで…1年くらいかな?

後藤氏:当時は何人くらいで作ったんですか?

遠藤氏:えーと、何人かな…ゲームデザインとグラフィックとサウンドは僕がやったから…

一同:すごいっすね(笑)

遠藤氏:あとプログラマーがもう1人と。…実質、これ(ファイナル版)は2人です。

後藤氏:これ2人で作ってるんですか!?

遠藤氏:そういうことになんのかな(笑)こっち(○ーニーズ・・・)はだからもう1人プログラマー入れて、計3人で。

後藤氏:3人で!(笑)

遠藤氏:雰囲気、そういう感じですね(笑)で、こういうもの(製品版)が出来た、ということで。まあどちらも、今となってはどちらも全力込めて作ってるんで、これはこれで全力込めて作ってるんですよ。(目指している)方向性が全く違うので。

■ ガンダムゲームの作り方
――いわゆるガンダムゲームに関してどのようにお考えでしょうか?

遠藤氏:ガンダムゲーム、やっぱりガンダム出ないとダメでしょう。それとね、思うんですけど、「量産機に乗りたい!」っていう感覚がありますね。リアルに戦いに参加する感じって、量産機に乗る感覚なんですよ。それがすごくよくわかってね。ボールには乗りたくないけどジムには乗りたいっていう感覚ですね。敵側でもね、ビグザムに乗りたいわけじゃなくてザクに乗りたいんで。

後藤氏:ガンダムに乗れないゲームっていうのは難しいのかな。

遠藤氏:やっぱりガンダムは楽しいですよ。ガンダムのゲームはガンダムでないと…と思います。

――「お前、ガンタンクだよ」って言われてもねぇ(笑)

後藤氏:ガンタンクだけだとやっぱり。でも乗ると面白い。

遠藤氏:最初からガンダムに乗せてあげたいんですよね。よくありがちなのが「最初はガンダムだめだよ」って。それをふまえて最後はガンダムとかやりたがるんですよ。作る人って。概してやりたがるけどそうじゃなくて、最初にガンダム乗せておいて、「うまくなったら量産機に乗ってもいいよ」っていう方が、よっぽどマニアにはウケたりするんですよ。「今度はガンタンクでクリアだよ!」って、そっちの方が燃えたりするわけじゃないですか。コアユーザーとライトユーザーの視点が逆なのがガンダムなのかな、って気がしますけど。

後藤氏:作品の中ですけど、やっぱり今われわれが作ると、大体はお話を追う、当然お話はふまえてやるんですけど、ゲーム性よりそちらを優先して、無理やりお話にゲームを合わせる形とか多いんですよ。そういうのはなんか寂しいなって思いつつも、やっぱりガンダムはそういうとこは押さえてなきゃダメなのかな、とか…

遠藤氏:うん、思いますよ。

後藤氏:…なんか、もうちょっとはじけた感じに作りたいな、と思いつつも(笑)

遠藤氏:ちなみにね、キャラクターゲーム。どうしてもって筋を押さえておいて、やりたいことをのっけてく。クリアしたら外伝で遊びます的な部分、外伝の方に力がかかっててもいいじゃないですか。それだったらクリアするまでを、やけにラクにクリア出来るように作っちゃえばいいわけで。お話は苦労させない方が絶対いいと思うんですよ。お話を辿ってくゲームってそれはそれで、水戸黄門みたいなお約束なんで。お約束を楽しんでるけど、その途中でこの敵を倒さないと次行けない、その敵がやたら強い、とかね(笑)やる気がなくなっちゃうわけですよ。そうじゃないんだよ。だからお話を楽しむものは、絶対!VERY EASY とかあったらそれでやりますよ。

――最初の3機のザクにやられたくないですからね(笑)

遠藤氏:リアルはそうだよね。あれは最初の3機のザクにやられるのがリアルなんだけども、それを楽しみたいんじゃないから。

後藤氏:そうですね。お話を楽しみたいんですもんね。

遠藤氏:そのへんの設定っていうのかな、ゲームとお話っていうのが。お話を見せるっていうんだったら、ゲームの方はいかにド下手な人に自分が上手いと思わせるような演出をするかの方が大事なんで。

後藤氏:そうですね、気持ちよく遊んでもらえるかどうかですもんね。

遠藤氏:だからやってて、「うわぁ。あれ、オレってゲーム上手い!?」ってめちゃくちゃ下手だよ(笑)…そのぐらいのアシストをバリバリやって。

後藤氏:いかにプレイした人が気持ちよくなってくれるかがミソですもんね。

遠藤氏:あと、オンラインは絶対やりたいなぁ。

一同:うん。

遠藤氏:自分ではプレイしたくないけど、そういうのをやってる人がいるっていう文化は、やっぱりあってもいいかな。もちろんね、どんなに人数に偏りがあっても、連邦とかジオンとかいろいろ作ってもいいですけど、それぞれ全部別々に作っちゃって、自分達の勢力のために頑張ってるようなオンラインゲームでもいいと思うんだよ、アクシズでも全然OKじゃないですか。

後藤氏:「アクシズ、人少ないんだよー」とか(笑)

遠藤氏:「すくねーんだよ、お前、アクシズ来ない?」とか引き抜きがあったりしてね。

遠藤氏:ガンダム自体も進化して、やっぱ世代世代によって違うんで。それぞれのガンダムがあるんで。オレのガンダムは何だったって語るじゃないですか。それって他のものと全く変わんないで、例えばウルトラマン、「オレのウルトラマンはタロウだよ」、「オレのウルトラマンはエースだよ」。僕なんかはだから「ええっ?ウルトラQ?」とか言われて(笑)それってマンになってねーじゃんみたいな(笑)

■こんな作品をゲームにしてみたい
――じゃあ。次。今ならこの作品をゲームにしてみたい。昔はガンダムだったと思うんですけど。

遠藤氏:ゲームにして面白いっていうのはなかなかね。世界観に浸れるかっていう問題と、あとは切り出した時に面白いゲームになるかっていう問題の2通りなので。作品としてゲームにしてみたいっていうのは特にないんで。単に自分が好きなものがゲームになればいいなー(笑)生涯の目標としてファイブスターをいつかゲーム化するっていうのはありますけど。自分で勝手に決めてるのが、ファイブスターは、パッケージで10万円と(笑)

一同:(爆笑)

遠藤氏:それで、設定集とか全込みでもって売ると。ゲームの方は超難しくて、騎士でないと操作出来ない(笑)普通の人は操作出来ない。一番最初の部分だけ作ってあれば君には操作出来ませんでしたで終わりで、この先こんな物語があるっていうのは全部付録の中で語られるものっていうレベルで構わないって話してて。

後藤氏:出来れば遊びたいなー(笑)

遠藤氏:遊びたいなーって言ってもお前には遊ばせねーよっていう(笑)とりあえずファティマを用意してもらって、さらに自分に騎士の力がある人だけ。そのくらいしたいっていうのがあって。それは返して言うと、「誰にも作らせねーぞ」っていう意味なんですけどね。


■ 最後に一言
――最後に一言お願いします。

遠藤氏:最近、僕がこのゲームを作ったことを知らない若い人たちにあって、
「いやーもう、自分一番面白かったファミコンはZガンダムですよ」っていう奴にいっぱい会ってますから。僕が作ったと知らないでたまたま会って、ゲームの話とかした時に「自分一番面白かったのはZガンダムかなー」って、「なんかこうやってやっていって変形したりして…」…そんなところで神になりたくないんで言わないですけど(笑)でもそういうの結構あるんで。1人2人じゃないんで。"あーよかったなー"っていうのはあります。

――本日はありがとうございました。


えんどうまさのぶ

ゲーム作家。デビュー作の『ゼビウス』以降、『ドルアーガの塔』『ファミリーサーキット』『ケルナグール』などのビデオゲームをはじめ、カードゲームなども手掛ける。最近は携帯電話のアプリゲームの作家として『右脳パラダイス』『占いバキューン!』など多くのヒット作
がある。