[普天間]鳩山首相、結論越年へ　「新移設先」指示

　鳩山由紀夫首相は３日、米軍普天間飛行場（沖縄県宜野湾市）をキャンプ・シュワブ沿岸部（同県名護市辺野古）に移設する現行計画の見直しについて、年内の結論を見送る意向を固めた。早期決着に反対する社民党の福島瑞穂党首が同日、連立政権からの離脱を示唆したためで、首相も連立を重視する立場から越年を容認した。政府高官によると、首相は岡田克也外相と北沢俊美防衛相に「新しい移設場所を探してほしい」とすでに指示。結論越年を受け現行計画以外の移設案も探る考えとみられる。

　首相は３日、岡田外相、北沢防衛相、平野博文官房長官と会談し、「連立は大事だ。（対米交渉は）沖縄県民の声を聞いて時間をかけ誠実にやるように」と指示。社民党などに配慮する一方、米国とも粘り強く交渉するよう求めた。

　首相は１１月の日米首脳会談以降、１０年度予算への移設費計上に合わせて内閣としての方針表明を模索してきた。しかし、社民党が党首選をめぐり党内対立が表面化。福島党首が３日の常任幹事会で、現行計画で決着した場合、「重大な決意をしなければならない」と連立政権離脱を辞さない姿勢を示した。

　国民新党も社民党に歩調を合わせ結論に時間をかけるよう要求。首相は連立与党の結束を重視して先送りを判断した。政府高官によると鳩山、北沢、平野の３氏は「年内決着断念」で一致しているという。

　平野氏は首相との会談後、民主党の小沢一郎幹事長、輿石東参院議員会長と国会内で相次いで会談した。鳩山首相は３日夕、首相官邸で記者団に「最初から『年内に決めなきゃいかん』という議論をしているわけではない」と強調。首相周辺も「官邸は一度も年内なんて言ってない。じっくり時間をかけて結論を出す」と語っており、平野氏はこうした首相の意向を党側に伝えたとみられる。

　ただ、外務、防衛両省は日米閣僚級作業チームで「年内決着」に向けた検証作業を進めており、日本政府の「年内決着断念」を受けた米側の反応は不透明だ。防衛省政務三役の一人は対米交渉への影響について「全く分からない」と語った。【仙石恭、山田夢留】