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上野動物園 起爆剤はホッキョクグマ パンダの穴埋め、行動展示

12月4日7時57分配信 産経新聞

上野動物園 起爆剤はホッキョクグマ パンダの穴埋め、行動展示
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動物園の入場者数の推移(写真:産経新聞)
 ■14億円かけ新放飼場建設へ

 明治15年に開園し、日本初の動物園である上野動物園(東京都台東区)の平成20年度の来園者数が、60年ぶりに300万人を割った。パンダをシンボルに全国の動物園をリードしてきたが、昨年4月にジャイアントパンダのリンリンが死亡したことが入場者減に拍車をかけた格好。同園は、パンダに代わり、ホッキョクグマなどの行動展示(野生の生態に近い飼育下での展示)を新たな“目玉”にしたい考えだ。スターの抜けた穴は埋まるのか−。(宮原啓彰)

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 東京都や同園では今春、中国当局と新たなパンダの貸与について交渉。だが、年間1億円とされる高額のレンタル料や、中国の四川大地震などの影響で難航している。

 そんな状況の中、同園が活路を見いだしているのが「エコ・ズー構想」だ。園内の緑化のほか、温暖化で絶滅が危惧(きぐ)されるホッキョクグマなどの希少動物を行動展示しようという試みだ。

 同園は近年、施設の改装の度に、ゾウやキツネザルなどを従来の形態展示から行動展示へ切り替えてきた。背景には、行動展示の草分け、旭山動物園(北海道旭川市)の成功がある。同園の来園者は8年の26万人から昨年は全国2位の277万人と10倍以上に急増、1位の上野動物園を猛追している。

 日本動物園水族館協会は「旭山動物園はいまや全国のモデル。一方、上野動物園を含む歴史の長い動物園は老朽化が進み相対的に魅力を失っており、どこも改革を迫られている」と指摘する。

 苦境にある上野動物園がいま最も熱い視線を送るのが既存の2頭のホッキョクグマだ。建設当時は画期的だったという人工氷壁も築80年を経て老朽化。コンクリート製の高い壁に囲われたプール付き放飼場は「時代遅れの見せ方」(同園)となっていた。

 そこで、同園では今年度、新しい放飼場の建設に着手し、来年度までに14億円を投じて現在の3倍に拡張。屋内飼育舎も2階建ての“豪邸”に建て替える。目玉はプール壁面のガラス化による行動展示で、隣接するアザラシなど海獣用のプールとの境界を一部ガラスだけで仕切る構造。「遊泳する姿だけでなく、迫力ある海獣狩りが間近で見られる初の施設」と関係者は自信を見せる。

 同園幹部は、「もちろんパンダがいた方がよい。だがこれからは1種類のスターに頼らず、アイデアで魅力を向上させなければならない」と話す。だが、石原慎太郎都知事が「(パンダが)見たけりゃいるとこに行けばいい」と話すように、パンダのいる神戸市立王子動物園は、上野とは対照的に来園者を着実に伸ばしているのも事実だ。“ご神体”を失った上野動物園の再生に向けた手腕が問われるのはこれからだ。

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最終更新:12月4日8時44分

産経新聞

 

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