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「飛び込み出産」1〜8月に106件、75%がハイリスク…大阪府

早急な支援策迫られる結果

 妊婦健診を受けず、出産間近になって医療機関に駆け込む「飛び込み出産」が、大阪府内の産婦人科医療機関で1〜8月に106件あり、うち早産や仮死状態で生まれるなどして新生児集中治療室(NICU)の利用が必要だったケースは38件(36%)と通常の分娩(ぶんべん)の10倍に上ったことが、府と大阪産婦人科医会の調査でわかった。母体に危険が及ぶケースも含めた「ハイリスク出産」は全体の75%を占めた。未受診妊婦の危険性の高さを裏付ける数値で、府にとって早急な支援策を迫られる結果となった。

 未受診妊婦に関する実態調査は全国でも数少なく、府では初めて。未受診妊婦は、持病など母体の状態が分からずリスクが高いことなどから、医療機関に受け入れを敬遠されがちで、全国的に問題となっている。

 調査は、未受診妊婦を「健診3回以内、未受診期間3か月以上」と定義。府内にある160の産婦人科医療機関のうち、未受診妊婦の受け入れの可能性があるとした95機関が回答、26か所に受け入れ実績があった。

 分析の結果、低体重児(2500グラム未満)が生まれたのは27件(25%)で、通常の分娩の5倍。死産は3件あった。

 健診を受けなかった理由としては、「経済的理由」が34件(32%)と最多。次いで「妊娠に気づかなかった」「婚姻に問題(未婚・夫と別居など)」が続いた。「前に未受診でも産めた」「子育てで多忙」など、危険性の認識が乏しい人も多かった。

 調査を担当する光田信明・府立母子保健総合医療センター産科部長は「市町村が妊婦健診への助成を拡充しているが、調査結果は金銭的援助だけでは解決できないことを示している。どうすれば未受診妊婦を減らせるか、社会全体で考える必要がある」としている。大阪市内で5日に開かれる府医師会主催の研修会で発表。調査は継続し、1年分を最終結果としてまとめる。

2009年12月4日  読売新聞)
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