鹿児島県阿久根市の竹原信一市長(50)が自身のブログに「高度医療が障害者を生き残らせている」と、障害者に差別的な記述をして波紋を広げている。
記述は11月8日付。医師不足解消策として勤務医の給与増額が議論されていることを批判する中で「高度医療のおかげで以前は自然に淘汰(とうた)された機能障害を持ったのを生き残らせている。結果 擁護施設に行く子供が増えてしまった」(原文のまま、以下同)と記述。さらに「『生まれる事は喜びで、死は忌むべき事』というのは間違いだ」と持論も展開した。
さらに翌9日付では、自身の発言を批判する読者のメールを紹介したうえで「慎重さを欠く見解に見えたかもしれない」と記述。だが「高度医療が多くの人々に高い精神性を追求せざるを得ない機会を与えているのは現実だ」と持論を続けた。
竹原市長のブログは「やめさせたい市議」実名アンケートなど、たびたび物議を醸した。木下孝行市議は「障害者やその家族に配慮のかけらもない」と批判。14日の12月議会一般質問で追及する構えだ。
知的障害者の家族でつくる「全日本手をつなぐ育成会」(本部・東京都、会員約30万人)の大久保常明・常務理事は「命の価値に軽々しく差をつけ、優生思想にもつながる危険な考えだ。障害の有無に関係なく生きる権利を否定しており、公人の意見とはとても思えない」と強く反発している。【馬場茂、福岡静哉】
毎日新聞 2009年12月3日 東京夕刊