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フィギュアスケート特集

スペシャルレポート From LA  朽木久コーチインタビュー(1)  

Kuchiki20484   米国ロサンゼルスを拠点にして、二コル・ボーベック、ティファニー・チン、クリストファー・ボウマン、長洲未来といった名選手たちを次々と指導してきた伝説の名コーチ、「サーシ」こと朽木久氏をインタビューした。朽木氏は日本人ではじめてダブルアクセルを跳んだパイオニアでもあり、ショースケーターの草分け的存在でもあり、1992年のアルベール五輪にペアで出場したナターシャ・クチキ(パートナーはトッド・サンド)の父親でもある。

――スケートをはじめたのは?
「13歳のときですよ。僕は愛知県でした。それまでは野球をやっていたんだけど、肩を怪我してしまって。キャッチャーだったから、投げられなくなってしまった。そのときちょうど今池に小さなリンクができたばかりでね。アイスリンクというより水の上を滑っているみたいだったけど。ザンボーニ(整氷車)とか当時はまだないし。でも、スケートが好きになっちゃって、いつでもスケートのことを考えていたよ。僕のうちはお金がなかったから親からは一度もだしてもらっていないの。酒屋さんでアルバイトしながら自転車をこいで足を鍛えたり、ね。毎日は滑れなかったからローラースケートを買って、どこに行くのもそれで行ったりね。我流というか、人のマネをしてスピンとか覚えたんですよ」

――当時から愛知はスケート熱が高かった?
「いや、そんなに上手な人はまだそのころはいなかった。信夫くん(佐藤信夫)は大阪だったし。まっちゃん(山田満知子)は一緒にやっていましたよ」

――山田満知子先生ってどんなスケーターだったのですか?
「メガネをかけててね。ひょろひょろっと細くて小さな子だったよ。他の子と比べて……お父さんが熱心だったね。ダブルサルコウをきれいに跳んでいた」

――まだトリプルの時代ではなかったんですね。
「そりゃそうだよ。僕なんかスケートはじめて4、5年は貸靴だったから、国体に行ったときも靴の後ろには番号が書いてあったんだもの! お金はなかったけど、あればなんでもスケートのために使っていましたね。勝負とかは気にしなかった。ジャンプとかスピンとか目標があってこれができるようになりたい、という思いで練習していた。ダブルアクセルなんてまだ誰も跳んでいなかったから、あーでもないこーでもないと練習して、練習して、練習して……。転んで脳しんとうを3回もおこしちゃった。そして、日光の関東選手権で初めて降りた。うれしくってね。なんともいえない気持ちになった。だから、僕は子供たちがダブルアクセル降りたときの気持ちがわかるんですよ」

――指導者はいなかったのですか?
「僕は苦労したけど、本当にいろいろな人に助けられたんですよ。オリンピック候補になったときも行けないと思ったけれど、稲田(悦子)先生が“このお金をもって、強化合宿に行きなさい”と言ってくれた。レッスンも何もとっていないのにですよ。僕が“受け取れません”と言ったら、”私もそうやっていろいろな人に助けられてきたから、自分が助ける番になったら助けてあげて”と言われたんです。それで合宿に行って、いろいろな先生からレッスンしてもらうことができた。明治大学に入ってからも、コスチュームとか先輩にもらったものばかりだったし。アメリカに来たのもそう。いろいろな人に助けられたから、僕も困っている人を見たら助けてあげようと思っています」

――井上怜奈選手もアメリカに来たばかりのこは世話したとか?
「ああ。そうでもないんですよ。ただ彼女もひとりで来て、アルバイトとかしながらがんばっていたからね。レッスン料とか無しで、教えてあげただけ。癌にかかったなんて僕は知らなかったもの。この前、テレビの取材が来て初めて知ってびっくりした。あの子は年齢がうちの娘と同じで、92年の五輪は一緒にでているから、自分の娘みたいに思えるんですよ」

――先生がアメリカに来たきっかけは?
「一宮の教会が後援してくれて、スコーバレーのオリンピック(1960年)に行かせてくれた。そのときアメリカで勉強してみたら、と言ってくれる人がいて、最初はサンフランシスコに行ったんですよ。ホームステイというより住み込みのバスボーイですね。働きながら学校にも行かせてもらいました。明治大学に行っているときは、”K堂‘という老舗のお菓子やで住み込みで働いていたんだけど、そこの娘さんが慶応大に行っていて、なんでもできる子だったんです。それで僕も刺激をうけて、アメリカでがんばってみようと思ったんですね。スケートも続けていくうちにアイスショーのオーディションがあり、”受けてみたら?”と言われて受けたら受かった。それで好きなスケートをしながら、世界中をツアーすることになったんです。いろいろなことがありましたよ。アメリカに渡って3年目にニューヨークのマジソンスクエアガーデンで公演があったんです。ある娘さんがミシガンのカラマンズーに交換留学生で来ていて、友だちで見にきてくれるはずだった。でも、その直前にバスの事故があって亡くなってしまったんです」

――奥さんのデニスとはどこで知り合ったんですか?
「いやー、それは、まあ、ははは。彼女とはアイスショーでずっと一緒だったんですよ。結婚したのは71年。ナターシャ(次女)が今、ディズニーオンアイスにいて14年目に入った。お父さんは20年アイスショーにいて、お母さんは10年いたから、”お母さんの記録はもう破った。次はお父さんの20年を破りたいから、私はやめない”と言ってがんばっているんですよ。タマラ(長女)はオリンピックは行かなかったけど、ジュニア・ワールドは行った。今は振り付けをやっています。うちの子たちはスケートが好きでね。ケンカばっかりしているけれど、スケートの練習を嫌がるとか、そういうことは一度もなかったね」

――先生と奥さんが指導されたんですか?
「いえ、自分の子供は教えられませんよ。でも、陸トレとかはやりました。うちには地上用のハーネスがあるんですよ。トランポリンもあった。娘のコーチのジョン・ニックスがね、”トリプルトウを飛んだら200ドルをやる!”と言うから、ナターシャは一生懸命やって跳んだんですよ。そしたら、ジョンは”カルフォルニアはギャンブルを禁止しているから払えないな”なんて言う。それでもうナターシャは”2度とギャンブルなんかしない”って怒っちゃってね。(笑)」

――ユーチューブでティファニー・チンの練習映像をみたら、サーシ先生がホッケースティックを2本持って腰をはさみながらスケーティングさせていました。
「ははは。ジョン・ニックスが彼女のメインのコーチで、僕はスピンやスケーティングやテクニック面を彼女に教えていました」

――ティファニー・チンって、トリプルアクセルを跳んでいたんですね。
「そう。あれはティファニーが自分の力で跳んでいたんですよ。アクセルがきれいな子だったからね。くるくるくるっとダブルアクセルみたいに、きれいにトリプルアクセルを跳んでいた。お母さんはビデオに録画して持っていましたよ。でも、ジョン・ニックスは絶対にプログラムに入れなかったなぁ。もったいなことをした。トーニャ・ハーディングより早かったのに」

text/Yoko Umeda


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