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「感情をうまく言葉にできない」低い社会的スキル/神奈川の小中高暴力行為、全国ワースト

2009年12月1日

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 文部科学省の2008年度調査で県内の小中高校での暴力行為件数が、4年連続で全国ワーストとなった。友人や教師を殴る、机を倒す、掲示物を破る児童生徒たち。それらの行動には、自分の感情を言葉で表現できないコミュニケーション能力不足や、ささいな対人上のトラブルから安易に暴力に訴えるといった傾向が見受けられるという。

 ある小学5年の男児は友人の気を引こうとちょっかいを出し、無視されたことに逆上して相手に殴りかかった。中学3年の女子生徒は友人から受けた嫌がらせメールがしこりとなり、相手の胸ぐらにつかみかかっていった。

 県内の暴力行為発生件数の4割近く(3397件)を占める横浜市のケースだ。特に小学校での発生件数は前年度比4割増。中学校は15%増だった。

 暴力行為の傾向として市教育委員会は、【1】コミュニケーション能力の不足や規範意識の低さなど社会的スキルの欠如【2】人間関係上のトラブルなどから安易に暴力行為に発展【3】暴力行為の個別化・個人化-を挙げる。「自分の思いをうまく言語化できず、感情をコントロールする力も乏しい。1980年代に問題になった校内暴力では集団によるものが多かったが、今は特定の児童生徒が繰り返す傾向が強い」(市教委)という。

対症療法的 
 川崎市でも小学校154件、中学校750件と前年度より増加、相模原市は中学校で前年度比4割増となった。両市とも特定の児童生徒が繰り返す点や、「ふざけ合いがけんかに発展する」(川崎市教委)点が共通する。

 児童生徒が暴力を振るうようになる理由の一つとして横浜市教委は、児童生徒自身が家庭で暴力を受けているケースを指摘する。日常的に暴力にさらされている子どもは、加害者にもなりやすい。

 また、コミュニケーションが不十分なままに友人との人間関係に苦慮する事例も。ある市立中学校の男性校長は、生徒同士が対立を回避するために”対症療法的”なうそを重ねるのを、たびたび目にした。「例えば一緒に遊びたくない相手との約束を断るために、安易にうそをつく。そのことが相手にばれ、わだかまりが残る-。そういう細かいしこりが積もり積もって、何かのタイミングで暴力という形で顕在化するのではないか」

“芽”を摘む 
 暴力行為の低年齢化を懸念する横浜市教委は、07年度から担任学級を持たない「児童指導担当者」を小学校に置くモデル事業を展開。担当教師の一人は「理由もなくわたしの手を握ったり、後ろから抱きついてきたりする子ほど、何か不安を抱えている」と指摘。子どもたちのSOSに早期に気付く必要性を訴えた。

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