社会
「なしのつぶて」の老齢加算 新政権に募る不満
「老齢加算も復活を」と訴える兵庫訴訟原告の馬場朝子さん。布団をかぶって寒さをしのぐ生活から脱出したい=神戸市北区 |
生活保護費の「老齢加算」廃止は違憲-と、神戸など各地の裁判所に訴えた原告たちが、鳩山政権の対応に不満を募らせている。同様に訴訟の対象となった母子加算は、長妻昭厚生労働相が12月からの復活を決めたが、老齢加算については「なしのつぶて」。憲法が保障する最低限の生活を守るには両方の復活が必要と訴える兵庫訴訟弁護団は、県内選出の民主党議員へ働きかけることを決めた。(飯田 憲)
2007年に高齢者9人が神戸地裁に提訴した兵庫訴訟の原告団長馬場朝子さん(82)は、神戸市北区で一人暮らし。1995年の阪神・淡路大震災で自宅が全壊し、翌96年、同居の長男=当時(43)=を亡くしてから、生活保護を受給する。
06年の制度見直しで70歳以上への「老齢加算金」が全廃され、受給額は月約1万8千円減った。現在の保護費は、障害年金を加えて約12万円。寒さが増した最近は、暖房の電気代を節約するため、日中はベッドで布団をかぶり、外出も週1〜2度に控えるようになった。
母子、老齢加算の減額、廃止の取り消しを求める生活保護訴訟は全国10の地裁・高裁で係争中。原告は母子12人、老齢101人に上る。
民主党のマニフェストでは「母子加算」の復活を掲げ、政府は10月下旬、本年度予算の予備費から必要な約58億円を充てた。しかし、老齢加算は「現段階で復活は考えていない」との姿勢だ。
兵庫訴訟弁護団事務局次長の吉田維一弁護士は「母子、老齢加算の廃止はともに、最低限度の生活をうたう憲法25条に違反する。さらに復活を目指す活動を検討したい」としている。
【老齢加算】
消化吸収のよい食品の購入や冠婚葬祭費など、高齢者に必要な支出を賄うため、原則70歳以上の生活保護受給者を対象に1960年、創設された。しかし、生活保護受給者の急増や財政難などを理由に、国は2004年度から段階的に削減し、06年に全廃。05年の厚生労働省調査などによると、受給者は全国で約31万人(神戸市9479人)。約370億円が支給されていた。
(2009/12/03 15:45)
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