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沖縄密約「文書に署名した」 元外務省局長、法廷で証言

2009年12月2日1時2分

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写真:法廷での証言を終え、記者会見する元外務省アメリカ局長の吉野文六氏=1日午後、東京・霞が関の司法記者クラブ、上田潤撮影法廷での証言を終え、記者会見する元外務省アメリカ局長の吉野文六氏=1日午後、東京・霞が関の司法記者クラブ、上田潤撮影

 1972年の沖縄返還の際に日米が交わしたとされる「密約文書」をめぐる情報公開訴訟で、返還交渉の責任者だった元外務省アメリカ局長の吉野文六氏(91)が1日、東京地裁(杉原則彦裁判長)に証人として出廷した。外務省の局長室で密約文書に署名したと証言。文書の内容については、当時の愛知揆一外相ら外務省幹部も「知っていたはずだ」と語った。

 交渉の当事者が密約の存在を公的に認めたのは初めて。法廷での証言後に記者会見した吉野氏は、密約の存在について「(政府は)もう認めるべきだ」と語った。

 外務省は現在、岡田克也外相の指示で(1)60年安保改定時の核持ち込み(2)朝鮮半島有事の戦闘作戦行動(3)72年の沖縄返還時の核持ち込み(4)沖縄返還時の原状回復費の肩代わり――の四つの密約の検証を進めており、来年1月に報告書を公表する予定。訴訟は、作家の澤地久枝さんら25人が原告となって今年3月に提訴し、(4)についての文書公開を求めている。

 吉野氏は法廷で、日本が米側に3億2千万ドルを支払うと沖縄返還協定に記されていることについて、この総額が積算根拠のない「つかみ金だった」と説明。そのうえで、協定では米側が「自発的支払いを行う」とされた土地の原状回復費400万ドルについて、本来は日本側が負担する必要がないのに、この総額の中に含まれ、日本が肩代わりする密約があったことを認めた。

 また、沖縄にあったラジオ放送「アメリカの声(VOA)」の中継局の国外移転費1600万ドルについても総額に含まれていたと明言。こちらも日本が秘密裏に負担する密約があったと認めた。

 吉野氏は、密約を記した米公文書が相次いで公開されたため、「いつまでも秘匿できないという心境になった」と話した。

 国側はこれまで法廷で「文書は保有していない」と繰り返してきたが、外務省の調査を受けて、この日は一転して密約の存否や文書の有無などについての認否を留保。「調査を踏まえて主張、立証を考えたい」と説明した。(川端俊一、谷津憲郎)

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