大仁田氏「変えんば長崎」知事選出馬表明

　プロレスラーでタレント、元参院議員の大仁田厚氏（５２）が２日、故郷長崎市で会見を開き、来年の長崎県知事選（２月２１日投開票）への出馬を正式表明した。坂本龍馬像前に立った同氏はこの日、得意の「ファイヤー」も封印し「変えんば（変えないと）長崎」と大まじめに約１時間、長崎の危機を熱弁。涙を流しつつ「県民のため、故郷長崎に胸いっぱいの恩返しをしたい」と長崎復活策を訴えた。約９年ぶりの選挙戦となるが、完全無所属で、どぶ板に徹して戦うという。

　大仁田氏はこの日昼すぎ、長崎市内を見下ろす丘の上にある「風頭公園」内の坂本龍馬像前に立ち「出馬を表明します」と宣言した。最近、地元メディアの仕事で県内各地を回る中で「今の長崎に元気がない」と故郷の危機的状況を痛感し、長崎を再生させたいと思うようになった。「故郷長崎が大好きだ。自分に何ができるか考える中で、故郷に胸いっぱいの恩返しをしたいと思い、出馬を決断した」と続けた。

　この日は得意のフレーズ「ファイヤー」も封印。真剣な表情で、時に涙を流して約１時間、県政の問題点を熱弁した。同氏はまず、県が抱える借金は「約１兆２０００億円もある」と“告発”。巨額費用がかかるとされる県庁移転計画も「ストップすべき」と訴えた。

　「１０大政策」も披露した。それによると、「推定４０００万～６０００万円」（同氏）という知事退職金を全額放棄し、知事給与も自ら３割カットする。中小企業への「大支援策」実施や、長崎の観光王国化や、自身が知名度を生かした宣伝マンとなり、長崎の物産品などを全都道府県を回ってＰＲする。オープンなガラス張りの県政を目指すという。　

　同じ九州の東国原英夫宮崎県知事（５２）にも刺激を受けた。「長崎空港には東さんのマークが入った土産が多数売っている。正直、宮崎県がうらやましい面もある。でもそれを見て『僕もやろう』と思った」。

　参議院議員だった大仁田氏は０７年夏、自民党に離党届を出して参院選に出馬せず、政界から遠ざかっていた。その後長崎で精力的に活動し、今年１０月下旬ごろには出馬の意思を固めていた。今回は無所属で立候補し、どぶ板選挙に徹する。

　大仁田氏は「長崎はこのままだと、財政破たんもありうる。長崎に今必要なのは、県民がひとつになって復興を目指す姿勢。『変えんば長崎』です。長崎のために一生懸命やりたい、という気持ちを分かってほしい」と真剣に強調した。

　［2009年12月3日9時1分　紙面から］