普天間基地移設問題 鳩山首相が「年内決着断念」の意向を伝えていたことが明らかに
沖縄のアメリカ軍普天間基地移設問題で、鳩山首相が「年内決着断念」の意向を関係閣僚に伝えていたことがわかった。連立を組む社民党の福島党首は3日、連立離脱を示唆している。さらに、橋下大阪府知事の「普天間基地の関空への移転要請があれば、議論するのもやぶさかでない」との発言にも波紋が広がっている。
福島党首は3日午前、「もしも、もしも万万が一、辺野古の沿岸部に海上基地をつくるという決定が、この内閣のもとでなされれば、それは社民党にとっても、私にとっても、重大な決意をしなければならない」と述べた。
社民党党首選挙の告示を4日に控え、福島党首の口から飛び出した「重大発言」。
もしも、沖縄のアメリカ軍普天間基地が、日米合意通りに沖縄県のキャンプ・シュワブ沿岸部に移設された場合、重大な決意、すなわち連立離脱も辞さないとの考えを示した。
この発言に対し、鳩山首相は「やはり、社民党さんは今でも、辺野古への移設に対しては大変厳しい思いを持っておられますから。そのことは、重く受け止めなきゃいかんと。ただ、一方で、外交交渉ですから、相手がある話ですから。そこも大事にしないといけない」と述べた。
政府高官は2日夜、移設問題の年内決着にはこだわらない考えを示したが、平野官房長官は3日、「わたしは、年内決着しなければならないと言ったことはございません。総理自身もそういう考えだと、わたしは理解・認識いたしております」と述べた。
もはや年内決着は困難とみられる普天間基地の移設問題。
そんな中、沖縄県の仲井真知事が3日、橋下知事にラブコールを送った。
仲井真知事は「ぜひ、橋下さんの真意といいますか、どういうお考えなのかは聞かせていただきたい」と述べた。
橋下知事は11月30日に、アメリカ軍基地の移設問題で「関西でも、もしそういう話が来れば、基本的には受け入れる方向で検討はしていきたいと思いますけど。もちろん、受け入れるかではないですよ。議論を拒否しないってだけで」と発言し、関西国際空港への、アメリカ軍基地受け入れ要請があれば、議論するのはやぶさかではない考えを表明した。
これを受け、基地問題で関空活用案を唱えている沖縄県選出の国民新党の下地衆院議員が2日、橋下知事をアポなし訪問した。
下地議員は「(先方は)『会えない』ということは言ってますけど、それでも『会いたい』とはお伝えしてあるんで」と述べた。
その熱意に応えてか、面会に応じた橋下知事は「目の前通過して『会えません』とは言えませんので、非公開ということであれば、まったく意見交換するのに問題ありませんので」と語った。
非公開の会談では、沖縄の基地負担軽減につながる提案が政府からあれば、検討する考えをあらためて示したという。
くしくも、先日行われた「事業仕分け」で、「命綱」といわれた160億円の補給金に凍結という結果が示された関西国際空港。
今後、地元の理解が得られたうえで、「軍民共用空港」という選択が現実味を帯びていくことになるのか。
橋下知事は2日、「関空は米軍からしてみると、価値は低いんじゃないかと。まわりに演習場がないとか、いろいろな問題がある。僕はそこは、勉強してないのでわからないんですよ」と話していた。
そもそも、アメリカ軍基地の移設先を関空にすることは可能なのか。
自民党の中谷元防衛庁長官は「関西空港では、常識的に考えて、騒音の問題とか、安全性の問題とか、これを実施するとなりますと、2〜3年は調査する必要もあるし、人口密集地もある中で、厳しいなという印象を持つ」と述べた。
そうした中、鳩山首相は1日、岡田外相、北沢防衛相らと普天間問題を協議した際、「連立を重視する」との考えを伝えており、出席者は、事実上年内決着を断念したと受け取ったという。
県内移設に反対する社民党が、党首選を控えていることなどを念頭に置いたものとみられ、4日に開かれる日米協議の場でこうした方針を伝える方向。
(12/03 17:53)