さて政治を論じるにも、ときにはユーモアのセンスも大切だなと思わされる愉快な記事が目につきました。
産経新聞12月1日朝刊に載った高畑昭男記者のコラムです。
「首相の子ども手当」とは?という見出しでした。
要するに鳩山首相が母親から受け取っていたとされる9億円もの偽装献金は一種の「子ども手当」ではないか、という趣旨です。
おもしろいと思うので、以下にこの高畑記者の記事を紹介します。
【朝刊 1面】
■【明日へのフォーカス】論説委員・高畑昭男 「首相の子ども手当」とは?
鳩山由紀夫首相の最近の言動には驚く。
一つは「お金」、もう一つは「信頼」に関することだ。
湯水のようにわき出る首相の偽装献金問題を見ているうちに「井戸塀政治家」という言葉を思いだした。
井戸塀とは、政治に没頭して私財を使い果たしてしまい、最後は井戸と屋敷の塀しか残らなかったというほどの意味だ。
戦後日本の安全保障を築いた人々の中には、「最後の井戸塀政治家」と呼ばれた藤山愛一郎氏がいる。
藤山氏は大会社役員の長男に生まれ、父親の築いた巨大コンツェルンの後継者となる。
大企業経営、日本商工会議所会頭、経済同友会代表幹事などを歴任し、財界の有力指導者といわれた。
昭和32(1957)年、日米安保条約改定をめざす岸信介内閣発足に伴い、首相に請われて外相に就任したのが政界入りのきっかけという。
「恵まれた身の上」、豊富な資金、派閥のリーダー、政財界の広い人脈など、鳩山氏と通じる面も少なくない。
不運なことに藤山氏の場合は、派閥の維持や自民党総裁選への再三の挑戦に私財をなげうっても、総裁=首相の夢はかなえられずに終わった。
その点では首尾よく政権交代を果たし、首相になった鳩山氏は幸運といえる。
しかし、日米関係の安定化と将来の同盟強化の基盤を築いた藤山氏の功績と、同盟基盤を崩しかねない迷走を続ける鳩山氏とでは大きな違いがある。
藤山氏には「日本の安全と復興に安保改定は不可欠」との信念があったそうだ。
こわもてで知られたダレス米国務長官らを説得するなど岸首相とともに歴史的な安保改定(35年)への道筋を固めた。
来年はその安保改定から50周年を迎える。
藤山氏の時代に比べると、普天間飛行場移設問題をはじめとして鳩山政権に対する国民や米国の不信感は日に日に募っているようにみえてならない。
日米首脳会談で首相はオバマ大統領に「Trust me」(信じてほしい)と語ったという。
だが、いくら言葉は美しくとも、翌日に相手の期待を裏切る発言をするようでは、かえって不信を深めたのではないだろうか。
不信を招く要素の一端はあいまいな「鳩山語録」にありそうだ。
「××と言った覚えはない」だとか「〇〇だと信じている」といった言い方も、聞く人には「××や〇〇である」との印象を与えがちだ。
しかし、よく読み返すと、決して断言したわけでもない。真意がなかなか示されないのだ。
自らの資金管理団体に5年間に9億円もの資金を母親から提供された問題についても、首相は「母親からの資金提供はないと信じたい」などと説明している。
だが、野党時代にあれほど政治資金や秘書の不祥事追及に力を入れ、「私なら議員バッジを外す」と公言していたにしては、自身の政治資金の流れを知らなかったとは信じ難い。
「大変驚いた」などという人ごとのような弁明を聞かされると、あきれるばかりだ。
今後の焦点は、母親からの資金を「貸付金」とみるか「贈与」とみるかにある。
「首相は9億円の『子ども手当』を受けていた」との批判もある。
月1500万円といえば、2日で100万円だ。
これだけの大金が無税で通るというのなら、庶民感覚を逆なでするのは確実だ。
まじめに贈与税を納めようと考える国民は日本から一人もいなくなってしまうだろう。
井戸塀ならずとも、お金と言葉は政治家の信頼に直結する。首相であればなおさらだ。
by maru145san
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