勤務医対策求め「島根宣言」を採択−日医勤務医部会
日本医師会の三上裕司常任理事は12月2日の定例記者会見で、日医の全国医師会勤務医部会連絡協議会が11月28日に松江市で開かれ、勤務医の負担増大に対する施策が緊急に必要だとする「島根宣言」を採択したことを明らかにした。
【関連記事】
来年度予算編成、「財務省主導」の改善を−日医見解
「過労死ライン」超える「36協定」168病院―医師ユニオン
【中医協】勤務医との収入格差、「実感と乖離」
勤務医の4割が「不当なクレーム」経験−日医調査
「病院勤務医、本当に逃げ出すほど忙しい?」−日医・藤原常任理事
三上常任理事はまず、医療費抑制政策や医師の絶対的不足などのさまざまな要因により、勤務医が過重労働を強いられている現状を指摘。「地域医療を支えてきたが、もはや限界を迎えている」と訴えた。
続いて、11月28日に「今こそ目指そう 医療崩壊から医療再生へ」をテーマに開かれた同協議会について説明。
それによると、あいさつと特別講演を行った唐澤祥人会長は、日医として勤務医の過重労働の緩和を最優先に掲げていくとの方針を示した上で、医療崩壊から脱却するためには、勤務医と診療所医師が一丸となって対処することが重要だと述べた。また、医師の団結のため、▽勤務医と診療所医師の接点をそれぞれの医師会で強化し、共同して課題解決に取り組めるようなフレキシブルな会務の運営に努めること▽日医の活動をより透明化し、国民に理解されるよう努力すること―を重要課題として挙げたという。
同協議会で採択された「島根宣言」は、これまでの医療制度改革で医師不足が進行し、勤務医の負担が増大したなどと指摘。その上で、勤務医に対する施策が緊急に必要だとしている。
同宣言には、▽今までの医療費抑制政策を転換し、医療福祉への予算の増額を行うことを求める▽OECD平均水準になるまで医師の増員を行うことを求める▽これから増えてくる女性医師が働き続けられるような支援体制の整備を求める▽勤務医の待遇改善をはかり、勤務医を増やすことによって、地域医療を存続させることを求める▽大学病院と地域医療を担う病院、診療所等が連携し、良き地域医療医を育てる▽地域住民との充分な相互理解のもとに、安全で安心な医療を提供する−の6項目が掲げられた。
三上常任理事は会見で、同宣言を関係各所に積極的に配布し、勤務医の過酷な労働環境に対する理解を深めてもらうとともに、宣言の内容が実現するよう強く求めていく考えを示した。
更新:2009/12/02 20:32 キャリアブレイン
新着記事
地域医療などで中医協委員がパネルディスカッ ...(2009/12/02 22:10)
医療への財源投入は経済成長に寄与−日医・唐 ...(2009/12/02 21:54)
レセプトオンライン請求に関する省令改正、「 ...(2009/12/02 21:10)
注目の情報
[PR] 医師の転職ならCBネット(CBnet)
記事を検索
CBニュース会員登録メリット
気になるワードの記事お知らせ機能やスクラップブックなど会員限定サービスが使えます。
一緒に登録!CBネットで希望通りの転職を
プロがあなたの転職をサポートする転職支援サービスや専用ツールで病院からスカウトされる機能を使って転職を成功させませんか?
【第88回】小西洋之さん(東大医療政策人材養成講座=HSP=「医療基本法プロジェクト」グループリーダー) 昨今の医療をめぐる議論の中には、「そもそも医療は何のためにあり、どうあるべきなのか」といった制度の根本そのものを問う意見も多い。国政の重要政策分野である医療に、こうした制度の基本理念や方針を定め ...
へき地医療の施策を決定するため、1956年度以降、国が5年ごとに策定している「へき地保健医療計画」。現在、その計画を実行する上で重要な役割を担っているのが、社団法人地域医療振興協会(会長=高久史麿・自治医科大学長)だ。2001年度に施行された第9次計画では、全国の医療関係者を結ぶ情報サイト「へき地 ...
WEEKLY