2009-12-01 08:26:47
gataro-cloneの投稿
<「ルールある経済社会へ」 さらば「財界中心」の政治>労働法制の規制(下)/海外移転加速する?
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「ルールある経済社会へ」/さらば「財界中心」の政治/労働法制の規制/下/海外移転加速する?
2009.11.24 日刊紙 8頁 経済 (全1,521字)
愛知県経営者協会は9日、労働者派遣法改正についての反対意見を発表しました。この協会は会長をジェイテクト(資本金386億円、自動車部品製造業)相談役がつとめ、中部電力、中部ガス、日本ガイシ、JR東海などの巨大企業が副会長に名を連ねています。
内容は、労働者派遣について「産業構造の変化や経済の変動に応じて企業が労働力の調整を迅速に行うことができ」るなどとのべ、これからも派遣労働者を使い捨てにしたいという意図をあからさまにしたもの。規制強化は「企業の国際競争力が低下し」、「製造業の海外移転が一気に加速」するという使い古された主張です。
(← 仕事に向かう労働者=都内)
不本意が急増
同協会の意見では、労働者派遣は「多様化する労働者の働き方のニーズに即して効率的にマッチングを行うこともできる優れた制度」などとのべています。しかし、労働者の側では、大企業が正社員採用を抑制し、非正規雇用におきかえてきたことによる「不本意型非正規労働者」が増えています。
関西労働経済学コンファレンスでの横山由紀子兵庫県立大学准教授による「非正規就業選択の背景」の報告によると、兵庫県勤労福祉センターの08年調査の個票分析では、「フルタイムの正規従業員に変わりたい」という30歳代男性の非正規従業員は78・9%に及び、男性全体でも69・3%。非正規で働く理由を「正社員になれなかったから」とする人も、週35時間以上働く男性のなかでは84%(複数回答)に達します。
みずほ総合研究所のリポートは、07年に正社員への転換希望をもつ非正規労働者の絶対数を400万人と推計。その後の増加率を10%とすると570万人になり、雇用者の約1割に及ぶとしています。現実は、「労働者の働き方のニーズ」とはまったく反対に「不本意型非正規労働者」が急増しています。
移転検討3%
製造業派遣の禁止で企業が外国に出て行くというのもおどしの議論にすぎません。
愛知県経営者協会のアンケートでも、「製造業派遣禁止後の対応」に対して「工場の海外移転を検討」しているのは、複数回答であるにもかかわらず2・9%。最も多いのは「正社員の残業の増減で対応」の70・1%、ついで「パート・期間従業員の増減で対応」の63・5%です。
派遣業規制に反対し、その署名をよびかけている日本生産技能労務協会(派遣・請負の業界団体)のアンケートですら、製造業派遣の禁止で「海外への生産移転」を検討する企業は複数回答で10%。「新たに正社員を雇用する」と答えた企業の10%と同率です。
最も多いのは、「期間工への切り替え」の43%、「パート・アルバイトへの切り替え」の39%で、製造業派遣が禁止されても、別の形で直接雇用をする企業が多数を占めます。
別の形での直接雇用を検討する企業の多さは、企業が必要とする労働者数が、派遣かどうかという雇用形態の違いには関係がないこと、企業は派遣であれば雇用数を増やすわけではないことを裏付けています。「製造業派遣禁止で失業者が増える」などという主張は、根拠がありません。
また、こうした主張は、これまで厚生労働省調べだけでも、24万4千人の非正規雇用労働者を解雇・雇い止めしてきたことに反省がないことを露呈するばかりです。
(この項おわり) (吉川方人が担当しました)
しんぶん赤旗