2009-12-01 07:59:48
gataro-cloneの投稿
<「ルールある経済社会」へ さらば「財界中心」の政治>労働法制の規制(上)/「国際競争力」口実に
テーマ:電子版にない「しんぶん赤旗記事」下のバナーをそれぞれクリックしてください
派遣など非正規雇用が社会問題となり労働法制を規制する動きが強まるなか、財界は国際競争力を失うと主張し、生産を海外移転せざるを得ないなどとブラフをかける。では実際はどうなのか、「しんぶん赤旗」のシリーズ記事が追いかける。
以下は「しんぶん赤旗記事情報/G-Search」から検索、転載。
========================================
「ルールある経済社会」へ/さらば「財界中心」の政治/労働法制の規制/上/「国際競争力」口実に
2009.11.20 日刊紙 8頁 経済 (全1,412字)
日本経団連は、「国際競争力」を高めるためとして、2007年度まで「規制改革要望」で派遣法の規制緩和を強く要求してきました。
自民党の西村康稔議員は10月28日の衆院代表質問で、「『最低賃金改正』『製造業への労働者派遣禁止』など、企業の国際競争力をそぎ、産業の空洞化を加速しかねない」とのべ、さらなる法人税減税を要求。大企業の代弁者としての姿勢を鮮明にしました。
占有率トップ
しかし、財界などがもちだす「国際競争力」は、実は恣意(しい)的なものです。日本経団連が日本の「国際競争力」低下の根拠としてきた国際経営開発研究所(IMD)の指標は、「リーマンショック」に見舞われた09年もアメリカが世界第1位という代物。ここでいう「国際競争力」とは、「企業活動を支援する環境整備の度合い」で、多国籍企業がいかに自由に活動できる環境があるかどうかの指標にすぎません。
総務省が6月に発表した「ICT(情報通信技術)国際競争力指標」では市場占有率を国際競争力の基準にしています。これによると、日本企業製品が世界市場に占める割合はコピー機65・5%、液晶テレビ43・4%、DVDレコーダー66・3%、デジタルカメラ60・4%、携帯電話用液晶デバイス45・7%など、依然として世界トップ。デジタルカメラなど占有率を大きくしている分野もあります。
自動車でみても、08年の生産台数でトヨタ自動車が920万台で世界1位。ホンダ、日産、スズキ、マツダ、三菱自動車、スバル、いすゞという日本ブランドを加えた生産台数は、2300万台にのぼり占有率は33%に達します(国際自動車工業連盟発表)。
不採算部門も
これらはいずれも、大量の「非正規社員切り」をした大企業が得意とするものばかりです。
それなのに、なぜ、財界・大企業はこれ以上の「国際競争力」を求めるのか。
労働者派遣法改正に関する審議会に先立つ労働政策審議会職業安定分科会で、電子デバイスの中小企業製造業の石井卓爾社長は、次のように発言しました。
「絶えず国際競争をやっているために、毎年価格に対して厳しい交渉があるのです。ですから不採算部門でも、さらに値段を下げていかなくては国際競争に勝てないという意識のもとに、価格交渉が行われるわけです。そうすると、経営者は何を考えるかといったら、いかにコストを削減するかということの一点に絞ってしまう」 大企業が大きな国際シェアをもっているにもかかわらず、さらに収益をあげるために国際競争を口実に採算割れに及ぶ単価たたきをしていることがうかがえます。それが、賃金の安い非正規労働者の比重を高める要因になっています。
(つづく)
しんぶん赤旗