「移民YES」

移民YES

2009年12月3日(木)

ドイツの苦悩―移民の失敗、繰り返さない

内務省政務次官、オーレ・シュレーダー氏に聞く

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 統合政策の目的は、異なる文化、宗教、言語を持ってドイツに移住してくる人たちが、ドイツ社会の中で居場所を見つけることを手助けするものです。

 その中で、ドイツ語の習得は最も重要です。連邦政府が提供する統合コースは、長期的にドイツに住む可能性のあるすべての移民に、十分なドイツ語を話す能力を獲得し、ドイツでの生活に慣れる機会を提供します。

 同時に、既にドイツに居住している(2世などを含む)移民の語学力を向上させる必要もあります。

外国人の失業率はドイツ人の約2倍ある

 シュレーダー このコースへの参加は、新たに入国してくるほとんどの移民に義務付けられています。社会保障手当を受けている人も、基本的に同様にこのコースに参加することが求められます。社会保障手当を受給している人は、職業訓練を利用することもできます。これは、参加者を労働市場に再統合することを狙っています。

 多くの移民は、学校で、大学で、職場で、上手く社会に馴染んでいます。しかし、その一方で、社会で居場所を見つけるのに苦労している人もいる。特に、トルコ系移民の2世や3世にこうした傾向が強い。実際、こうした状況は統計数字にも表れています。例えば、外国人の失業率はドイツ人の約2倍もあります。

 移民が抱えている社会的な背景は、しばしば失業率の高さや教育レベルの低さなどの原因になります。それは、特にトルコ系移民に見られる特徴です。

 一方、教育レベルや文化的な要素が、社会に上手く溶け込めるかどうかに影響してくる。例えば、東ドイツ時代に期間労働者としてやってきたベトナムからの移民は、一般的に教育レベルは低いですが、子供の5割はギムナジウム(日本の中高一貫校に相当)に通っており、その割合はドイツ人より高い。

 こうした事情があるため、ドイツにおいて統合政策は将来に渡り、中心的な課題であり続けるでしょう。連邦政府としては、統合政策を充実させることで、移民を労働市場に送り出し、教育機会を改善することに力を注ぎ、現在、私たちが抱えている社会の亀裂を埋めていきます。

 本コラムに関連した特集記事を、日経ビジネス2009年11月23日号のp24〜39に掲載しています。
 「移民YES」――1000万人の労働力不足がやってくる
 「外国人なし」もう限界/誰が支える?「20年後のニッポン」/根づき始めた2世、3世とどう向き合う?/難民を労働力に、スウェーデンの決断/ほか。こちらも併せてご覧下さい。(日経ビジネスの購読申し込みはこちら






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著者プロフィール

大竹 剛(おおたけ つよし)

1998年日経BP社に入社。「日経マルチメディア」「日経ネットビジネス」を経て2003年から「日経ビジネス」編集部記者


このコラムについて

移民YES

深刻な景気悪化を背景に、雇用対策が最大のテーマになっている。だが、10年もしないうちに、日本は深刻な労働力不足に直面する。既に、国内産業の多くが外国人の労働抜きには成り立たなくなり始めている。付け焼き刃の対応で「移民」政策に真正面から向き合ってこなかった日本。今こそ、「移民YES」に方針転換し、制度整備を急ぐ時だ。

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