(2)著作権者は西崎義展氏

 また、一部の人たちに誤解されているのが松本零士氏の役割だ。彼はテレビシリーズの監督を務め作画も担当したため著作権者であるように思われているが、『宇宙戦艦ヤマト』の著作権(製作権)は、テレビシリーズの企画者である西崎義展氏が持っている。今回、セディックインターナショナルの中澤敏明プロデューサー(『おくりびと』や『日本沈没』などを製作)が、5年前から西崎氏と交渉を続け実写化にこぎつけた。

 一方、アニメ版は西崎氏が自ら製作している。最初に復活編の製作発表がされたのは94年だったが、その後、西崎氏の銃刀法違反での逮捕や資金不足などがあり、ようやく映画化される。

 ただ、99年に松本氏が「『宇宙戦艦ヤマト』の著作権は自分にある」と訴訟を起こしたりした(後に西崎氏にあると和解)こともあり、『復活編』の登場人物の顔は以前とかなり変わっている。ファンから「古代進と分からなかった」という声も出ている。

(3)人物像や内容も変わっている

 さらに、実写版の内容はテレビシリーズと同じというものの、時代背景が異なっていることもあり設定や内容が変化している模様だ。黒木メイサ演じる森雪は、オリジナルでは「生活班」のリーダーで健康管理に気を配る仕事だったが、今回は「戦闘班」となっており戦いに参加するものと思われる。医師の佐渡先生は男性だが、今回は高島礼子が演じる。

 また、現時点では敵役のデスラー総統らの配役が発表されていないため、オリジナルとは展開が異なるのではという推測もある。

 実写版はすでにクランクインしており年内に撮影を終え、その後9カ月をかけてCG部分などの編集に当たることになる。東宝は来年を「ヤマトイヤー」と銘打って、大々的にプロモーションをする予定。日本で初めてとなる本格的実写版宇宙映画とは、どのような出来になるのだろう。

同じ宇宙戦艦ヤマトでも、ここが違う
実写版   アニメ版
SPACE BATTLESHIPヤマト タイトル 宇宙戦艦ヤマト 復活編
2010年12月 公開 2009年12月12日
山崎貴 監督 西崎義展(製作総指揮)
木村拓哉 黒木メイサ 主な出演者 山寺宏一 藤村歩 由愛典子
テレビシリーズの実写版リメイク 内容 「宇宙戦艦ヤマト完結編」の続編
西暦2199年、ガミラス帝国の攻撃により地球は放射能に汚染され、人類は地下都市に逃げ込んだものの、滅亡まであと1年余りと迫っていた。この危機を救う放射能除去装置を手に入れるべく、宇宙戦艦ヤマトは14万8000光年離れたイスカンダルに向けて飛び立つ。 ストーリー 西暦2220年。ブラックホールが地球を飲み込むことが確実となった。人類はサイラム恒星系惑星アマールの衛星へ移住を計画し、3億人ずつを乗せた移民船団を2回送り出すが、その最中に移民船団が謎の敵から攻撃を受けて消息を絶つ。第3次移民船団の護衛艦隊旗艦としてヤマトが発進する。

(文/日経エンタテインメント!編集部)