2009年12月2日 18時56分更新
心臓から出ている動脈に、本来ないはずの細い血管がつながることで心不全を起こす、「動脈管開存症」という病気の治療で、岡山大学病院は体への負担が少ない新しい治療法を用いて、これまでで最高齢の84歳の患者の治療に成功しました。
治療を受けたのは兵庫県の84歳の女性です。
動脈管開存症は、心臓から肺に血液を送る肺動脈と、心臓から全身に血液を送る大動脈とが、細い血管でつながっている病気です。
細い血管は、通常、生後1か月程度でふさがりますが、成長しても開いたままだと、心臓に負担がかかり、最悪の場合、死に至るおそれがあります。
これまでは、胸を開いて心臓をいったん止めたうえで手術を行っていましたが、60歳以上の人には体への負担が大きく、治療をあきらめる患者も多かったということです。
女性は先月27日、岡山大学病院で、太ももの静脈からカテーテルと呼ばれる管を挿入して、細い血管をメッシュ状の金属の器具でふさぐ治療を受けました。
治療は2時間半とこれまでの手術の半分の時間で終わり、進行していた心不全や胸が苦しくなる症状も解消され、2日、退院しました。女性は「びっくりするほど簡単に治療が終わって、負担はまったくなかった。家に帰ったら仲間とおしゃべりしたい」と話しています。また、治療を担当した岡山大学病院の赤木禎治准教授は「治療をあきらめているお年寄りに希望を与えられる新しい治療法だ」と話しています。