特定商取引法違反容疑で強制捜査を受けた東京都台東区の教材販売会社「ガイダンス」がチラシに出していた内職の求人広告(コピー)。別の社名を使っていた
大分など3県警の合同捜査本部が強制捜査に乗り出した、教材販売会社「ガイダンス」(東京都台東区)をめぐる特定商取引法違反事件。新聞の折り込みチラシ(求人連合広告)に内職の求人広告を掲載し、主婦らに高額の研修教材を販売する手口で、被害は昨年以降、大分など全国で約1500人、約4億7千万円に上るとされる。「すっかり洗脳された」。購入手続きをした県内の女性の証言からは、言葉巧みに金を振り込ませる営業実態が浮かび上がった。
「月5~6万円は稼げます」「どなたでも簡単にできる作業です」。昨年夏、こんな文句が踊る内職あっせん業者「××センター」の広告が佐伯市内の30代女性の目に留まった。小遣い稼ぎにと電話をかけた。
人当たりのいい若い声の男が電話に出た。「月10万円は稼げる」「わたしの知っている人は、月30万円稼ぎ、ブランド品を買ったり、しょっちゅう海外旅行をしていますよ」
勧められた仕事は、携帯電話に飾りを付けるデコレーション作業や、飲食店のお品書き。男は「知り合いがお品書きを書いた料亭には小泉元首相が訪れ、その字をほめていた。自分の得意分野で出世する可能性もあります」と、1時間近くセールストークを続けた。
「冷静に考えたらあり得ないが、洗脳されてしまった」。女性が「デコレーションがいい」と告げると、男は「まず作業キットを購入してください。仕事の材料などで、34万8千円です」と切り出した。
女性は不審に思ったが「努力次第で2~3カ月すれば取り戻せる」「しかも、1年後にキット代金を返します。保証書類を送るので大丈夫」「明日じゃ間に合わない。定員ギリギリなんで」と言う男を信じ、振り込んだ。
振込先に指定された口座名義は「ガイダンス」。「求人会社の名前と違う。おかしい」。女性は友人に相談し、クーリングオフをして全額返金してもらったという。「相手は人の心理に付け込むプロ。怪しいと思ったら周りに相談し、一人で決めないことが大事だと思った」と自戒を込めて振り返った。
<ポイント> ガイダンスをめぐる特定商取引法違反事件
「内職をあっせんする」などとうその説明をして、作業キットと称した高額の研修教材を販売していたとして、大分、千葉、島根の3県警合同捜査本部は1日、同法違反(不実告知)容疑でガイダンスの関連先6カ所を家宅捜索した。詐欺容疑での立件も視野に“内職商法”の実態解明を進める。捜査関係者によると、同社は折り込みチラシや求人誌に広告を出す際、複数の社名を使い分けていた。現在は廃業状態。チラシはさまざまな求人広告を寄せ集めた「求人連合広告」という形式が確認されている。
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