タイトルライン Pelikan タイトルライン




 スーベレーン M1000について







私は、現在販売されている万年筆の中では、ペリカンスーベレーンM1000が一番気持ちよく書ける万年筆だと思っている。
ある種、昔の万年筆に近く「究極」だとも思っている。
ただ、究極の道具とは、究極の使い手でないと使いこなせない。
使う人によっては「欠陥品」と呼ばれてしまう。

その訳は、ペン先が昔の(50年代位迄か)ペリカンやモンブランのように柔軟でしなる。
仮に細字を買ってみたら、
「これ細字じゃないだろう。どう見たって、太字だろう。」ということになりかねないから。
使う人は、どんな使い方をしている人でも
「どんな書き方ですか?」と問えば必ず
「普通だよ。」と答えるのは 長い経験から身にしみている。
今は、ボールペンで育った人達が万年筆を使う為に筆圧が強い。
筆圧が強い人が柔軟なペン先を使えば、ペン先が開き、インクが沢山出るのは、当然の結果である。

一方、究極の使い手は、その柔軟さゆえ、自らの手で書かれた文字に自由に強弱をつけられる。
万年筆という道具は、こうありたいものと私は願っているから、現在の万年筆の中ではM1000を究極と読んでいるのである。

さて、本論に入る。
私は、小売店という感覚も置き忘れてしまって、「研ぎ屋」という感覚しかない。
M1000は、Bからでなく、3Bから全ての太さに研ぎ出してきた。
もう数年前になると思うが、ニブポイントに“す”(空気穴)が入っていたことがあり、ペリカン日本の好意で、無償交換してもらった。
この1年位で、研ぎ出した時に、その“す”の入ったものが、2、3出てきた。
M1000の3Bは、もの凄く大きな玉を付けている。
ニブポイントは、大きくなれば大きくなる程、“す”が入る可能性が高くなる。
つまり、必然である。
そこで、ペリカン日本で、そのリスクを負うか、フルハルターで負うか、しばらく考えたのだが、フルハルターで負うことは不可能で、ペリカン日本に相談した。

ペリカン日本でも、ペリカン社から出荷された時には“す”が出来ていないのに研ぎ出しした時に出来てしまったものに保証を求めることが出来ない。
当然の見解である。

結果は、“出荷停止”しか選択はなかった。
凄く残念であるが、3Bのポイントの大きさ、長さを知っている私には他のポイントから研ぎ出して販売することが出来ない。

M1000をお求めになりたい方は他の店で試し書きをして…と申し上げるしかない。
どうか、ご理解ください。





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