部下の士気を萎えさせないために上司ができること
やる気メルトダウンを防ぐ上司の行動習慣
企業は社員に「やる気を起こさせる」必要があるのではない。「やる気をなくさないようにする」必要があるのだ。
デビッド・シロタ、ルイス・A・ミッシュキンド、マイケル・アーウィン・メルツァー=文 翻訳・ディプロマット
ほとんどの企業が完全に勘違いしている。企業は社員に「やる気を起こさせる」必要があるのではない。「やる気をなくさないようにする」必要があるのだ。
社員の大多数は、新しい仕事を始めるときにはかなりの情熱を持っている。しかし、約85%の企業で、彼らの士気は最初の半年が過ぎると急激に低下し、以後は下がる一方になることが、われわれの調査で明らかになった。この結果は、シロタ・サーベイ・インテリジェンス(ニューヨーク州パーチャス)が、フォーチュン1000社企業を中心とする52社の約120万人の社員を対象に2001年から04年にかけて行った調査による。
責任はマネジメントにある。社員を管理するために企業が用いる方策や手順と個々のマネジャーが部下と築く関係の両方にあるのである。
われわれの調査結果は、個々のマネジャーの行動やスタイルがこの問題をどのように助長しているか、そして、それを逆転させるためにマネジャーはどうすればよいかを示している。
働く人間が求める3つの要素
新しい仕事を始めるときに持っている情熱を社員に維持させるためには、マネジャーは働く人間の大多数が仕事に求めている3つの要素を理解し、それらの要素を満たさなくてはいけない。
●達成:自分の仕事や成果や雇用主に誇りを持つこと
●公平:敬意を払われ、賃金、諸手当、雇用の安定などの分野で公正に遇されること
●友愛:同僚と良好で実り多い関係を持つこと
社員の情熱を維持させるためには、マネジャーは3つの要素をすべて満たす必要がある。現に、これらの要素の1つが欠けている企業で働いている社員は、すべての要素がそろっている企業の社員に比べると、3分の1の情熱しか持っていない。
3つの要素を満たせるかどうかは、組織の方針と個々のマネジャーの日ごろの姿勢の両方にかかっている。
最も重要なことは社員に安心感を与えることだ。つまり、完璧なパフォーマンスをしなければクビが危なくなるのではと心配せずにすむようにしてやること、レイオフが苦しい時期を乗り切るための単なる選択肢の1つではなく、最後の手段とみなされる環境をつくることだ。
しかし、安心感を与えることは出発点にすぎない。次の8つの活動はいずれも、適切に実行されれば、達成、公平、友愛を求める社員の気持ちを応援するうえで重要な役割を果たし、彼らが当初の情熱を持ち続けることを可能にするはずだ。
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