……アメリカで豆腐の市場を開拓した人の体験談。いかにして売れない豆腐を売れるようにしたか?
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今日では TOFU は、アメリカのスーパーマーケットでも SHOYU とともに見られる。ごく当たり前の食品となっている。
しかし、豆腐であれ醤油であれ、最初から広く普及していたわけではない。醤油の方は、肉料理に合うので、普及は容易だった。しかし豆腐は、そう簡単ではなかった。
その売れない豆腐を、いかにしてアメリカで普及させたか? 米国で豆腐普及を命じられた著者の体験談。
では、その秘訣は?
「アメリカに渡って最初の9年間一度も日本の森永乳業本社に帰っていない」
という「退路を断つ」という厳しい勤務状況もあったが、それだけではない。
大事なのは、愚直に失敗を積み重ねるということだ。「これ一つをやれば万事OK」という夢を求めず、莫大な小さな試行錯誤を積み重ねる。たとえば、豆腐の着ぐるみを着て、マラソンに出る。すると、こけたところが、面白おかしく、テレビに放送される。(たくまずして。)
その意味は何か?
単に市場で売買するなら、「より良いものを、より安く」という市場原理に従えばいい。ただし、市場を新たに作り出す場合には、創造のための行為が必要だ、ということだ。
何かを作り出すにしても、物を作り出すだけでなく、市場を作り出すこともある。そこには創造活動がある。そして、創造活動において何よりも大切なのは、多大な失敗なのである。多大な失敗を通じて、多大な試行錯誤を経て、たった一つの成功を得ることができる。ただし、巨大な成功を。
「手っ取り早く効率的に低コストで」
というような発想を取っていては、創造活動はできないのだ。……そういうことは、「市場原理は万能」と唱える古典派経済学者には、決して理解できないことだが。
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→ 売れないモノは俺に任せろ! (Kobunsha Business)