事業仕分け 医療用漢方薬保険外し 「倒産する」製薬会社に危機感
12月2日8時16分配信 フジサンケイ ビジネスアイ
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医療用漢方薬の市場規模(写真:フジサンケイビジネスアイ) |
11月11日の行政刷新会議作業グループは「公的医療保険の対象として、湿布薬、うがい薬、漢方薬など薬局で市販されているものまで含めるべきか、見直すべきではないか」と議論し、「市販類似薬は保険外」との判定が出た。
市販類似薬の範囲については「十分な議論が必要」と結論を先送りしたが、漢方薬が実際に保険外になれば、医師が処方できなくなる。保険診療と保険外診療を併用する混合診療が原則禁止されているためだ。
日本東洋医学会の寺澤捷年(かつとし)会長は「重要な治療手段となった漢方薬を医師の手からもぎ取る暴挙」と批判する。
医薬品メーカーのツムラも、医療用漢方薬が売上高の9割以上を占め、8割以上のシェア(市場占有率)を握るだけに、芳井順一社長は11月12日の決算説明会で、「漢方医学の現状を知らない人たちの議論だ」と反発した。さらに、「保険削除されたら倒産する」と、危機感をあらわにした。クラシエ製薬も「経営への影響は避けられない」とし、今後の議論を注視する構えだ。
医療用漢方薬の市場規模は、2008年度が1069億円で、00年度に比べて23.7%拡大している。日本漢方生薬製剤協会が08年11月に実施した調査でも、医師の約8割が、「西洋薬で効果がなかった症例で漢方薬が有効」「患者の要望」などの理由で漢方薬を処方した経験があると回答しており、医療現場で漢方薬の使用が定着している実態が鮮明になっている。
ツムラによると、同社の主力薬「大健中湯(だいけんちゅうとう)」は、大腸がんの開腹術後に起こる腸の麻痺や癒着の改善などに使われている薬剤だ。ツムラは「現在、すべての大学病院で術後の治療に取り入れられ、入院日数の短縮による患者の負担軽減に寄与している」と説明する。医療用漢方薬の保険外しは多くの患者の治療に影響が及ぶ問題だけに、政府には慎重な議論が求められる。(本田誠)
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最終更新:12月2日10時35分
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