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「のだめカンタービレ 最終楽章 前編&後編」ロケ地であるウィーンにて現場取材を行いました!

2009年7月7日

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<写真:玉木宏さん、上野樹里さん>

ウィーンが誇る楽友協会に、のだめと千秋が登場!

2001年からの連載開始以来、老若男女を問わず絶大な支持を受け続けているラブコメディ漫画「のだめカンタービレ」。クラシック音楽をテーマにしたこの作品は、2006年にドラマ化、2007年にはアニメ化を果たし、その人気は留まるところを知りません。そしてついに、2009年12月19日、「のだめカンタービレ」の映画公開が決定いたしました!

現地時間6月28日、ウィーン・フィルハーモニーの本拠地であり、今回の撮影現場でもあるオーストリアの楽友協会にて、主演の上野樹里さん、玉木宏さん、若松央樹プロデューサー、武内英樹監督の取材を行い、順調に進んでいる撮影の様子や今後の意気込みなどを伺いました。

質疑応答


Q:皆様から一言ずつお願いします。

若松央樹プロデューサー
「のだめカンタービレ」の映画版2本立て「最終楽章 前編・後編」の撮影が順調に進んでいます。今回、3年前の秋からの連続ドラマに始まって、ついに映画まで来ましたが、これが最後となってしまいます。寂しい思いはありますが、今まで培ってきた迫力、オーケストラの演奏シーン、ラブストーリーなど、その集大成として一所懸命がんばって撮っています。すごくいいものが撮れていると思いますし、これからも撮っていきたいと思っています。皆さん応援のほど、よろしくお願いいたします。

武内英樹監督
もうすでにラストシーンを撮ってしまったんですけれども、自分で想定していた以上の素晴らしい演奏シーンが撮れたので、逆に自分の中でラストのハードルが上がり、モチベーションが上がっています。今日(の撮影)は(映画の)最初のシーンで、こちらも順調に素晴らしいカットが撮れています。自分自身、非常にワクワクしていて、乗った状態で撮っていることをお伝えしたいと思います。

上野樹里さん(野田恵役)
遠いところをお越しくださってありがとうございますぅ(ちょっとのだめ調子で会場から笑いが起こる)。こんな機会はなかなかないと思うので、楽しんでいってください。ウィーンはクラシックの本場なので、街にいるだけですごく集中できますし、本当に素敵な場所で撮影ができて、がんばらなきゃなと思います。あとは私たちがそのクラシックの良さを映画の中で伝えていけたらと思っています。これで最後になるので、悔いのないように、また映画館でお客さんに楽しんでもらえるよう精一杯がんばっていきますので、よろしくお願いいたします。

玉木さん(千秋真一役)
ドラマと前回のスペシャルに続き、千秋真一役を演じます。監督もさっき言っていましたけれど、(撮影が)始まってすぐにクライマックスのシーンを撮るということで、僕としては結構ヘビーだなと思っていたんですが、自分の力を出し切れて、本当にいいものが撮れていると思います。そこを逆にゴールとして計算して、その前の芝居を組み立ててやっていければいいなと思っています。前編、後編とありますが、すべての力を出し切って、最終楽章を終えたいと思います。

Q:玉木さん、こういう素晴らしい場所(楽友協会)で、山場の一つでもありファーストシーンとなる指揮の演技を撮影した達成感と感想をお願いします。

玉木さん:
ウィーンは、ベートーヴェンやモーツァルトなど、本当に(偉大な作曲家たちに)ゆかりのある場所で、まして200年近く歴史があるホールで指揮棒が振れるということは、役者としては2度とないことだと思います(笑)。この場所を楽しみ、尚且つ緊張感を持ちつつ、やっています。


<楽友協会はコンサートの開催や音楽資料の保存を目的として、1812年に創設されました。19世紀のメンバーにはヨハネス・ブラームスなども名を連ねています。協会の本拠地となる建物は、1870年に完成。天井上と床下の空間と、柱のシンメトリーな構造により、建物自体がひとつの楽器のように響くよう設計されています。写真は建物内にある「黄金のホール」と称される大ホール。映画の撮影で使用されるのは史上初となります。>

<楽友協会の表にケータリングのテントが張られ、
エキストラやスタッフの昼食がふるまわれました。>

Q:結構、楽しんでいますか?

玉木さん:
ええ、楽しんでいます。ドラマのときにも(指揮棒を)振った曲でもあるし、そういう意味でも思い入れのすごく強い『ベト7』(ベートーヴェン「交響曲第7番」)という曲ですので、楽しんで演じています。

Q:玉木さん、今日実際にホールに入って、指揮台に立った率直な感想をお聞かせください。

玉木さん:
先ほど申し上げた話とちょっとかぶってしまいますが、やはり「歴史の重みを感じるな」と、立った瞬間に思いましたね。僕もここでの撮影をするに当たって、インターネットでいろいろ調べたりしましたので(笑)、そういう思いもあって、よりいっそうその印象が強かった感じがしましたね。でも、ほかのホールに比べて雛壇がすごく高い印象があって、指揮台に立っていると、実際には圧迫感がありますね。

上野さん:
2階席もバーッとつながっていたりして……。

玉木さん:
うん、2階席も。でも、すごく楽しんでいます。

Q:ここは音がすごく良いという評判ですが、指揮台の上からはどう感じましたか。

玉木さん:
撮影では(オーケストラの演奏者に)「当て弾き」みたいなことをしてもらっているんです。ドラマのときもそうでしたけれど、実際に音をたくさん出してくれるんですね。ですから、「音を一番良い場所で聴くことができている」という感覚があります。本当に気持ちいいなという感じでやっていますね。

Q:どんどん乗っちゃう、という感じでしょうか。

玉木さん:
ええ、乗ってきますね。後半の第4楽章になればなるほど。

Q:上野さんはいかがですか?

上野さん:
クランクインして2日目くらいからラストシーンの撮影に入りました。今日は逆に最初のシーンなんですけれど……玉木さんは最初からフル回転して、モチベーションを上げて最後のシーンに挑まないといけないということで、すごく大変だったと思うんです。けれど、指揮が本当にパワーアップしていました。連ドラ、スペシャルを経て今があるという感じで、どんどん段階を踏んで成長をしていて……。千秋先輩の指揮はすごくかっこよかったです。

私もホールに入って観客席からその姿を見ていて、曲も良いのですごく引き込まれ、感情移入できました。見ているだけで泣いたり笑ったり、いろんな表情ができるのは、千秋先輩の指揮が成長しているお陰なので、早くお客さんにも観ていただきたいなと思います。今日の指揮のシーンで使用した楽友協会は、(ホールの)全部が金色ですごく歴史がある場所で、シューマンの像も(建物の中に)ありましたし、花もいっぱい(舞台に)飾られていて。ホール的にはそんなに大きいという感じではないんですけれど、ホールが小さいと千秋先輩が大きく見えるというか、私にはさらに大きく感じました。今まで以上に(千秋先輩の)パワーを感じたので、「これがオープニング・シーンなんだ」というのを早く観たいですし、楽しみです。

Q:玉木さん、今の上野さんのお話を聞いていかがですか。

玉木さん:
本当に嬉しい限りです。役の設定上、前編の方で千秋がのだめを実力で引き離していくんですね。それを見て、のだめが焦りを感じるという部分がテーマになってくるので、そういう意味で指揮に関しては、今回は今まで以上に重要だなとは思っていました。(上野さんに)そう思っていただいて、すごく嬉しいなと思います。

Q:最初に指揮棒を振ったときの感情は?

玉木さん:
うーん、やっぱりすごく緊張感はありましたね。今までもオーケストラのシーンを撮影してきたんですけれど、(演奏に参加したフラデツ・クラーロヴェー・フィルは)今日初顔合わせのオーケストラの方々でしたし、このホールでの緊張感もあり、という感じでしたね。


<千秋が指揮をするシーンの撮影では、スロバキア、ウィーン、
日本から集まった総勢870人のエキストラが参加しました。>

<オープニングシーンの撮影後、
モニターをチェックする上野さん(右)と武内監督(右から2番目)。>

Q:初めにクライマックスを撮ったことで逆に緊張感がとれたというようなことは?

玉木さん:
一つずつ肩の荷が下りてきているような印象があるので、もうちょっとだと思って(笑)。でも、どれも重要な指揮のシーンですので、その都度、新たな緊張感はありますね。

Q:このホールで指揮をした日本人ですと、過去に小澤征爾さんなど、すごく少ないと思います。小澤征爾さんを参考にしたことはありますか?

玉木さん:
参考にしたことというのはないんですが、今回撮影で使っている大ホールの隣にある小ホール(ブラームスホール)は、ブラームスがピアノ作品を初演した会場なんです。日本ではなかなか触れることのない人たちに、同じ空間で触れられているというのは本当にすごく貴重な体験だなと思っています。ましてや神聖な指揮台に上がって実際に指揮ができるというのは、滅多にできる経験ではないので、貴重な体験をさせていただいていると思います。

Q:飯森範親さんの指揮指導で大変だったことは?

玉木さん:
回数を重ねるたびに、どんどん指揮法が難しくなっていきました。単純に4拍子とか2拍子を振るのではなくて、左手の表情だったり、曲の内省的なもの、作曲家が何を伝えたかったのかということを根底に思いつつ、それを表情や芝居に表して……ということを心がけるようにしました。それは前よりも強く思うようになりましたね。

Q:連ドラからスペシャル、そして映画になるというのは、主演のお二人にとってもすごく幸せなことだと思います。総括するには早いかもしれませんが、「のだめカンタービレ」という作品はお二人にとってどのような作品なのでしょうか。

上野さん:
上野樹里といえばのだめちゃん、みたいな感じで覚えてもらえたことが嬉しいですね。撮影をしていても「樹里ちゃーん」じゃなくて「のだめー!」とか、ちっちゃい子が「のだめちゃーん!」と言ってくれて。街でピアノバッグを持っている子を見かけたり、ファンからのお手紙で「娘がピアノを習い始めました」とか、「吹奏楽部に入りました」とか、そういう話を聞くと嬉しいですね。「みんな楽しんで観てくださっているんだな」と思うと、がんばろうっていうエネルギーにもなります。原作もすごく面白いですしね。

まだ原作の漫画も連載が続いていますし、映画も並行して作っているので、リアルタイムでどちらも進行しているというのは新鮮ですよね。「映画は映画でいいものを作ろう、漫画は漫画で楽しみだ」という感覚って、普通はないと思います。たくさんのスタッフたちと、「この先どうなるか分からない」と思いながら作っていく感じが楽しいし、お客さんの期待も大きいんだろうなって思うと、がんばろうって思います。

玉木さん:
この作品で自分を変えられたという部分がすごく大きくあります。僕自身はクラシックの音楽を聴いたことがなくて、この作品で千秋真一という役をやるからこそ聴き始めたんです。曲を何度も聴かないと指揮なんかできないし、何度も聴くうちに「クラシックっていいな」って思うことがでてきたりして。樹里ちゃんが今言ったように、いろんな人がクラシックに対する壁を壊せた作品だと思うし、それは僕もとても感じています。だからこそ、二ノ宮知子さんの原作ありきのものだと思っているので、僕の中で「コメディーを撮っている」という意識はそんなにありませんね。芯があるところは本当に芯があると思っています。

Q:音楽の都での撮影は日本とは違いますか。


<楽友協会の前には千秋が指揮をするポスターが飾られました。のだめが記念撮影!>
上野さん:
中央墓地に行ったら、ベートーヴェンのお墓とシューベルトのお墓が隣同士にあって、その真ん中にモーツァルトの記念碑が建てられていて……。そこを中心に、一つ一つ違う形の、音楽家たちの木でできたお墓がたくさん並んでいました。そこを歩いているだけで何かを感じるし、たくさんの音楽家がいた場所なんだなと感じました。なかなか来られない場所で撮影できるということで、申し訳ないようなことがないように「私、がんばんなきゃな」と思いますね。

すごく大きな大聖堂にも行きました。そこでベートーヴェンの葬儀が行われたということをパンフレットで読んだのですが、今まで行った教会と何かが違うというか、言葉で言い表せないものがあるんです。感じるものなんですね。それが映画に映っていたらいいなと思います。音楽家たちが生きていた時代の建物を、今も大切に守っているウィーン。そのウィーンで、それこそ何百年も生き続けている曲を、映画の中で使用します。原作者の二ノ宮さんが、のだめ、千秋の心情を考えてアナリーゼ(楽曲を分析すること)して、選曲しています。一つ一つ、二ノ宮さんは心情に合わせて選んでいるので、「あとは私たちががんばるだけだな」と思います。

玉木さん:
樹里ちゃんが言ったことと一緒になってしまいますが、本当に多くの音楽家たちが過ごした場所で撮影ができるということは、それだけで身が引き締まります。音楽家たちに失礼のないよう、ちゃんとしたものを撮ることができればいいなと強く思いますね。

Q:他に「こんなところで撮影をしてみたい」という場所はありますか?

上野さん:
もう十分な場所を(スタッフの方が)選んでくれたと思います。何回も監督と若松さんがロケハンをして、何回往復したんだっていうくらい、いろんなホールを見て回っているので、これ以上ないというよりも、「(ここで撮影して)いいんですか?」っていうくらいの場所をお借りしているので。

Q:海外でこれだけの大きなロケをやることについて、監督の中での感慨というものがありましたら。

武内監督:
前回のスペシャルのときも、日々ものすごい大きな問題が起きて(笑)、毎日綱渡りでした。今回も相変わらず、いろんな問題が……。今回はかなり準備期間があったので、前回ほどではないですが、やっぱりトラブルはあります。それもある程度、想定の範囲内なので、その分スケジュールに余裕をとってあります。そんなことよりも、連ドラの第4話で八王子市民ホールでやっていたベートーヴェンの「交響曲第7番」を、最終回でサントリーホールで撮りました。その時も「こんなところでやっていいのかな」って思っていたのに、今度は楽友協会でやっている。本当に感無量ですし、監督冥利に尽きます。



「のだめカンタービレ 最終楽章 前編&後編」公式サイト