きょうのコラム「時鐘」 2009年12月2日

 前原誠司国交相、47歳。京大から松下政経塾を経て政治家以外の職に就いたことはない。それはそれで珍しくないが、普通の人から見れば特異なコースである

先の北陸視察にその思いを強くした。若き大臣を大先輩議員らが取り巻いた。大臣の威光と、与党になった議員の喜びがにじんでいた。政権交代とはこういうことであり、権力を握った強さを見た

選挙を人生コースの「バイパス」に例えた人がいる。かつて政治家は、なるべくしてなるような人が一歩一歩階段を上がってなった。それが今や無名の若者が一足飛びに政治家になる。選挙があればこそだ

「その面白さといかがわしさが人々を熱狂させる」(日本人の人間関係=栗田靖之著)というわけだ。議員が偉い人かどうかは別として、時には門閥や学歴を飛び越えるバイパス効果は明快である

「選挙を軽視するものは国民のしっぺ返しを食う」との小沢民主党幹事長の言葉があった。選挙のために政治をするのかとの批判に反論したのだろう。政治家と選挙の関係は卵と鶏に似ているが、選挙なくして政治家は生まれないのも事実である。