ベルリン(CNN) アフガニスタン北部で今年9月、ドイツ軍が要請した空爆で一般住民に犠牲者が出た問題で、ドイツのユング労働社会相は27日、辞表を提出した。同相は空爆時、国防相を務めていた。
空爆では、民間人殺害の情報が軍などに伏せられたとする疑惑が発覚、シュナイデルハーン陸軍参謀長が26日に辞表を提出している。ユング氏は辞任の理由について、情報伝達で混乱があったことの責任を取る、と述べた。保守中道派のメルケル政権は総選挙を経た10月下旬に発足したが、閣僚の辞任は初めて。
空爆では、民間人を含む90人以上が死亡し、アフガンの地方行政当局者は、死亡者の約半分が民間人とも主張していた。空爆は、イスラム強硬派勢力タリバーンに強奪された国際治安支援部隊(ISAF)用の燃料トラックを標的にしていた。民間人は燃料の分配を求めて集まっていたともされた。
ユング国防相や連邦軍当局は当時、空爆で民間人が死亡した事実を否定していた。しかし、地元紙ビルトは26日、軍の秘密報告書やビデオは明らかに民間人の犠牲者がいることを示していたなどと報道。また、空爆を求めた司令官が、要請前に民間人が巻き込まれる可能性は否定出来ないと判断していたことも判明したと伝えた。
ドイツ軍司令官が求めた空爆を支持していたシュナイデルハーン陸軍参謀長は、ビルト紙報道を受ける形で辞表を提出した。
アフガン駐留ドイツ軍の規模は約4500人で、米英に次ぐ。死亡者の増加などで早期撤退論が世論で強まっているが、ドイツのメルケル政権は最近、軍の駐留期間を1年延長していた。