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食のココロ

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ここ数年「地産地消」が注目されてきたせいか、「その地域で生まれた、伝統野菜」というものが、再評価されているのだそうだ。確かに最近、スローフード系のイベントに行くと、地方からのブースで、見たこともない野菜が展示・紹介されていたりする。でも流通の問題のせいか、実際に食べられることは、ほとんどない。 うーん食べてみたい! と思っていたのだが…、私の住んでいる東京にも「江戸野菜」というものが、あるというではないか。しかも、日本で唯一の、江戸野菜専門店も存在するという。江戸野菜ってどんな野菜なんだろう。さっそく、行ってみた。

味や香りが濃い、江戸野菜

今回は東京・五反田にある『江ど間』の宮城さんに、お話を伺います。あの、基本的な質問で申し訳ないんですが、江戸野菜って何なんですか?

「江戸野菜というのは、江戸時代から明治時代にかけて、東京、もしくは東京近郊で作られていた、伝統的なお野菜ですね」

いまのものと、味はどう違うんですか?

「個別の野菜によって違いますが、基本的には、味や香りが、強いです」

味が濃いんですね。江戸野菜って、やはりあまり知られていないものだと思いますが、個々の種類が、それぞれの土地で、脈々と作り続けられていたものなんですか?

「作り続けられていたものもあるし、復活させたものもあります。最近になって、江戸野菜に関する活動が広まってきて、残っていた種を、復活させたりしているんです」

え! 復活なんで、出来るんですか?

「研究所に残っていた種とか、農家のほうに残っていたものとか、そういうものの中から作っていくんですよ」

地元野菜ブームは、江戸野菜以外でもひろまっていますよね、でも、食べてみたいなと思っても、なかなか食べられません。だから『江ど間』さんのような、実際に食べられるお店はすごいなと思います。何故、こういったお店をオープンされたんですか?

「このお店のコンセプトは、健康なんです。人の健康と地球の健康、というのをテーマにお店をやっています。まず人が健康になるには、低カロリーの食事を提供したいと思ったんです。低カロリーの野菜中心の料理にしようと。あとは地産地消で、「その土地の気候で暮らす人が、その土地で育ったものを食べると身体にいい」って言われていますよね、その2つがポイントです。野菜で地産地消がしたくて、東京のお店なので、東京の地産地消ということで、江戸野菜に行きついたんです」

とくに菜食を意識されているいうことでは、ないんですよね。

「そうですね、完全な菜食でもマクロビオティックでもないですが、その概念は少しずつ取り入れています。ちょっと菜食やマクロビに興味があるとか、最近体調が良くないから健康になりたい、でもやっぱり美味しいもの、お肉は食べたいという方に向けて…、半分お野菜、半分お肉っていう料理はどうかなとか、野菜が7割の料理はどうかなとか、そういう形でお出ししています」

いま、『ゆるベジ』という概念が流行っていますよね。それに近いのかもしれないですね。 お野菜の入手って、どのくらい大変なんでしょうか、想像がつかないんですが。

「普通のお野菜に比べれば、かなり大変だとは思います。まず、年間を通して、同じ野菜がないんですね。旬に限られたものしかないので、メニューをどんどん変えていかなければいけなくて、そこが飲食店としては大変ですね。もうひとつ、思った通りに入手出来ない、っていうのがありますね。稀少な野菜は、期待した数量が入らなかったりするんです」

野菜を数点、紹介していただきました

品川かぶ

「かぶなのに、長いんです。特徴はこの形と、普通のかぶと比べると、歯ごたえがいいところ。しっかりとした食べごたえで、味は野性味があります。うちでは鉄板焼きにしてお出ししています」

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メニュー例の写真は、品川かぶの鉄板やき(手前は生のもの)。味が濃いい!

小松菜

「スーパーにあるものより、かなり大きな小松菜です。今回のものは葛飾からのものですが、江戸川区からも入荷します。おひたし、鉄板での塩昆布いため、おでん等でお出ししています」

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携帯と見比べてください。本当に大きいんです。

花町子かぶ

「これも通常の小かぶよりはずっと大きいですね。くせがなくて、かぶ独特の苦みも少なく、食べやすいです。これは鉄板焼きかサラダにしています」

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これも、小かぶと呼ぶには大きなサイズ。葉っぱも美味しそう。

千住ねぎ

「千住は、ねぎ専門の市場が立つくらい、有名なねぎの産地なんです。これはウチ以外にもいろいろな料理店(料亭)などでも使われていますね」

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メニュー例は、千住ねぎを豚肉で巻き、焼いたもの。ねぎ特有のツンとした感じが全くなく、甘いです!

「興味本位でいいので、食べてみて欲しいです」

あまり、煮込んだりといった調理法はしないんですね。

「せっかくのお野菜を使ってるので、煮込み過ぎたり、強いソースを使ったりはせず、素材本来の味を楽しんでもらおうと思っています」

ちなみにこういった特殊なお野菜って、やはり高価なんでしょうか。

「うちは直に仕入れてますので、そんなには…」

でもやはり、通常のお野菜よりは高そうですよね…。年間を通じて、おすすめの江戸野菜ってどれですか。

「みんなおすすめですけれど、いま一般には流通していない、品川かぶなんかどうでしょうか。冬の野菜で、秋口から春まであります。これは、去年復活した野菜なんです。去年は難しかったんですが、今年はある程度安定して入荷してきてます」

復活野菜ですか!

「品川で八百屋さんをやってらっしゃるかたが、都内で種を見つけてきて、育ててくれる農家さんを募って、作ったものなんです。あとおすすめなのは、馬込三寸にんじんですね。

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馬込三寸にんじんのおでん、複雑で面白い味がします。

これも冬の野菜なんですが、非常に甘いです。夏だと、いちばん人気メニューは、谷中ショウガですね。豚肉で巻いて、鉄板で焼いて食べるんです」

それはすごく美味しそうですね。江戸野菜、食べてみたいかたが、東京以外のかたでもたくさんいらっしゃると思うんです、食べられる方法ってあるでしょうか?

「うち以外の都内のレストランも、扱いはじめたという話をきいたりは、するんですが…」

江戸野菜専門店は、このお店が日本唯一ですよね。やはり、ここに来ないと食べられないですね…。 ここに来て食べてみたいな、と思う人も、多いと思うんですが。

「そうですね、まずは興味本位でいいので、来て欲しいですね。『なんか変わった野菜があるらしい』という程度の気持ちで、それで食べて頂いて、普通のお野菜と何が違うのか、知って頂ければと。うちは「利き野菜」っていうセットメニューでもあるので、それも是非試してみてください。

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利き野菜メニュー「小松菜とほうれん草の味比べ」。加熱したものと生が食べ比べられます。

健康をテーマにしていますから、食べて頂くと、次の日の体調に影響が出て来ますので、それを体感してもらえれば、と思います」

「え、どうなっちゃうんですか」

「お酒を飲んだ翌日って、舌がしびれたり、喉がかわいたりしますけど、そういうのが無いと、お客さんに言っていただいてます」

すごい! 確か、お酒も東京産のものを、そろえてらっしゃるんですよね。

「そうです。やはり土地のものは健康にいいんです」

やっぱり、地産地消のパワーってすごいんですね!

取材後日、実際に『江ど間』さんに伺った。お野菜が美味しいのはもちろんのこと、自然塩など、こだわりの調味料も美味であった。しかも、多めに飲み食いしてしまっても、野菜中心で低カロリーなので、気持ち悪くなったりしない…!!まず、女性はとっても気に入るお店だと思う。太る心配ほとんどナシ。健康に気をつかいたい男性にもいいと思う。江戸野菜をしみじみ味わいながら、ほろ酔いになれる、とても幸せな時間をくれる、貴重なお店。おすすめだ。

東京都品川区西五反田1-9-3 ホテルロイヤルオーク 1F
江戸野菜居酒屋 江ど間
電話:090-8491-3999
http://www.ac.auone-net.jp/~edoma/index.html


大塚 幸代

大塚 幸代(おおつかゆきよ)
ライター。現在「東京女子プロジェクト」に参加中。
> 個人サイト 日々の凧あげ通信


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