門外不出、ユングのカラー写本『赤の書』日本語版が創元社より来春刊行
鏡リュウジさんのブログ「鏡リュウジのRyuz-café」でもすでに話題になっていたユングの『赤の書』の複写版ですが、先月(09年10月)にまずドイツ語版が刊行され、来月(09年12月)には英語版が刊行となります。『赤の書』はユングがフロイトと決別する時期(第一次世界大戦前夜)に書きとめていた夢日記を、後日自身の注釈と挿画を付して書き写したもので、色鮮やかな写本のようなその内容は、門外不出のものとして長らく伝説的な存在であり続けました。

その日本語版がついに来春、創元社から刊行されることになりました。これはすごい事件です。写真は出来上がったばかりの内容見本を撮ったものです。内容見本の中身は以下の通りです。


左は『赤の書』についての解説、右は本文組見本(70%縮小)です。


推薦文は、梅原猛さん、中沢新一さん、萩尾望都さん、横尾忠則さんの四名から。豪華ですねえ。


そして内容見本の折り目を全展開すると、『赤の書』の3頁分の複写が現われます。圧巻。感動ものです。かつて創元社で出版されていたユングの『東洋的瞑想の心理学』の口絵でも、『赤の書』から二葉のカラー図版(「火神アグニの誕生」「ブラフマンの使者」)を縮小サイズで見ることができましたが、今回出版される複写版は原寸での再現ですから迫力が圧倒的に違うはずです。


最後のページは、日本語版『赤の書』の書誌情報です。発行は2010年2月末、発売開始は3月頭と聞いています。


赤の書
C・G・ユング著、ソヌ・シャムダサーニ編
河合俊雄監訳、田中康裕・猪俣剛・高月玲子訳
創元社 09年2月 A3変型判、函入上製、464頁予定
特別価格税込37,800円(2010年9月まで。以後は税込42,000円)

まあこのデフレ時代に猛烈に高い本ですが、なにせフルカラーの複写本ですし、各国語版に比べて日本語版はいっそう愛蔵に相応しい造本となると聞いています。日本語版を手にする最初で最後の機会になるかもしれませんから、ここは覚悟を決めて予約したいところです。なお、語学堪能な方は、英語版をお薦めします。外貨事情で、本家米国アマゾン・コムで予約すると今なら同社日本サイトよりお得だと思います。

なお、創元社より刊行されているユングの訳書では今年9月の『哲学の木』が売行好調と聞いています。また、人文書院からは同じく9月に、長期品切だった『心理学と宗教』(ユング・コレクション3)も復刊されました。当ブログでは来月、『赤の書』の英語版を日本語版に先駆けてご紹介できると思います。

最後に補足になりますが、人文書院では『心理学と宗教』の前に『アイオーン』や『結合の神秘(I)』を復刊しています。ユングの著書はいったん品切になるとどうしてもすぐには重版されないですし、古書価も落ちませんから、ぜひこの機会にお求めになることを強くお薦めします。

人文書院ではユングの復刊と並行して、エリファス・レヴィの『高等魔術の教理と祭儀-教理篇』と『高等魔術の教理と祭儀-祭儀篇』を再刊していましたが、喜ばしいことに、来月(09年12月)には同じくレヴィの『魔術の歴史』も復刊する予定で、年明けの1月には『大いなる神秘の鍵』(鈴木啓司訳、A5判上製540頁、本体予価6800円)というレヴィの新刊も発売予定だそうです。
by urag | 2009-11-29 21:23 | 本のコンシェルジュ | Trackback | Comments(0)
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