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映画「おとうと」の試写会に登場した鳩山由紀夫首相

　鳩山由紀夫首相と幸さん夫妻が１日、女優の吉永小百合さん（６４）と落語家の笑福亭鶴瓶さん（５７）が主演する映画「おとうと」（山田洋次監督）の完成披露試写会に登場した。１２月１日の映画の日を祝って、公務の合間に駆けつけた鳩山首相は「山田監督の『おとうと』を私も見たいんです。弟ともっといい関係になりたいとそう思っておりますから。今日もまた弟は何かいろいろなことを言っているようですから、見たいんです。今日は代わりに私よりも映画好きの幸がどっかにいると思います。よろしくお願いします」とあいさつし、会場を沸かせた。

　また、「うちの嫁さんなどは、『一度映画を作ってみたい。亭主の世話を見るよりも映画を作りたい』毎日そう言っております。そのくらい映画というものは人をとりこにするものだと思います。（映画という）芸術を作るたびに一人一人が苦労される。皆さん方が、笑いと悲しみと喜び、様々なものを共有できるのはすごいこと。いつか政治もそのようにしたいと思っております」と抱負を語った。

　山田監督は「日本の映画人の一人として、鳩山総理のお言葉に心強い思いがしております。大変励まされました。映画の現場は厳しいものになっている。そういう状況を変えていきたいと思い続けています。新しい政権になって、総理には我々のことを勇気づける政治をしていただきたい」と話し、鳩山首相は「映画の発展のために、事業仕分けされないように精一杯頑張っていくことをお約束いたします」と締めくくった。

　「おとうと」は、夫亡き後、小さな薬局を営んでいる吟子（吉永さん）が女手一つで育てた一人娘の小春（蒼井優さん）の結婚披露宴に、芸人を目指して大阪へ行ったきり音信不通だった弟の鉄郎（鶴瓶さん）が突然現れ、酔っぱらって大暴れしてしまう。幼いころから、弟をかばい続けてきた吟子は、このときも鉄郎をかばうが、鉄郎の恋人だという女性が現れ、鉄郎の借金返済を要求。なけなしの預金を全額渡した吟子は、鉄郎に絶縁を言い渡し、それから鉄郎は消息不明となるが、鉄郎は体中にガンが転移し、余命幾ばくもなかった……という物語。

　吉永さんは「１９５９年に初めて映画に出演しました。それからとうとう５０年たって、なんだかあっという間で信じられないくらいです。でも最近映画の作り方が変わって、私がついていけないんじゃないかしらと思うことも出てきました。技術の進歩でどんどん映画が新しくなるんですけれども、その反面、心の部分がどこかに置いていかれそうな気がすることもあるんです。でも山田組の現場はそんなことはなくて、手作りで映画の制作をしていく毎日です」と、女優人生を振り返りながら笑顔で話した。映画は１０年１月３０日から全国で公開。【松村果奈】