福岡県警が愛知県東海市にあった旅券などの“偽造工場”を摘発した事件で、見る角度によって図柄が浮かび上がり、偽造が難しいとされる外国人登録証明書のホログラムが、中国の福建省で作成された疑いが強いことが27日、捜査関係者の話で分かった。県警は、高い技術力を持つ大掛かりな偽造集団が同省にいるとみている。
同事件で県警に有印公文書偽造容疑で逮捕されているのは、無職李文強(27)と無職劉圓圓(25)の両容疑者。偽造されていたのは、中国などの旅券や、16歳以上の外国人が入国審査官などの求めに対して提示義務がある「外国人登録証明書」など。同証明書には、偽造防止のためホログラムが張られている。
捜査関係者によると、2人は偽の証明書に、シール状のホログラムを張る方法で偽造。劉容疑者は「ホログラムは自作できず、1枚10元(約130円)で福建省の知人に注文し、輸入していた」と供述しているという。
2人は、複数の仲介者を通じて偽造旅券などを受注。名前や住所などの記載内容は、電子メールで情報を受け取っていたという。偽造した旅券や就労資格証明書など計4点を3万5千円で販売。うち2万円が2人の取り分で、残りは仲介者に支払われていたという。
2人は少なくとも約二百数十人分の偽造旅券や外国人登録証明書を作成、販売していたことも、伝票などから新たに判明。李容疑者は「偽造旅券は1枚40分で作れる」などと話しているといい、県警は300人分以上を偽造していた可能性があるとみて調べている。
=2009/11/28付 西日本新聞朝刊=