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医療事故の法的責任、行政処分のあり方含め検討を−医療安全推進シンポ

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 厚生労働省がこのほど開いた医療安全推進週間シンポジウムでは、「徹底討論 医療事故調査のあり方を考える」と題し、医師や弁護士らが意見を交わした。論点の一つとなった法的責任の問題については、行政処分のあり方を含めて今後検討すべきとの声が上がった。

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 医療事故の法的責任について木ノ元直樹弁護士は、「事故調査の報告などが刑事、民事の責任追及のレールに乗ることには反対だ。制度的にそういうものを立ち上げるのは間違っている」などとし、法的責任は切り離すべきと主張した。
 一方、永井裕之氏(医療の良心を守る市民の会代表)は、責任追及に対する医療者からの反発を批判。「同僚評価や自浄能力の向上に取り組むつもりがないのではないか」と述べた。

 これまでの医療事故調査について鈴木利廣弁護士は、専門家の判断を離れ、法的な判断が先行する混乱があったとし、「専門的な判断を優先するという意味で、医療界が刑事責任論のあり方自体を考えていくことが大事」と強調した。
 堤晴彦氏(埼玉医科大高度救命救急センター長)は、医療行為が全面的に免責されるわけではないとした上で、「何が医療行為の業務上過失致死罪に相当するかは、法曹側が明らかにする義務がある」と述べた。

 鈴木弁護士は、厚労省の大綱案、第三次試案でも言及されている警察への通知に関連して、「今までは『刑事責任先行型行政処分』だった。行政処分を医療の質の確保に沿った形にし、専門職能集団の懲戒権などを先行させることはあり得ると思う」との見方を示した。また、大綱案作成時は行政処分のあり方まで十分議論が進んでいなかったとし、それを詰めた上で、警察への通知の必要性を二段階的に考えることも「あり得る選択」と述べた。
 これについて本眞一氏(三井記念病院長)は、「各学会がいろいろとやるべき。行政処分に関しては、医学会が中心となっていかなければいけないと思う」などと述べた。

 第三者機関の設置場所については、堤氏が「調査する場所と処分する場所が同じであると非常にまずい」と指摘した上で、行政処分が個人に対する罰としての処分ではなく、医療機関をよくする立場での行政指導であれば、厚労省でもよいとの考えを示した。このほか、医療行政を担う厚労省に設置すべきとの意見や、誰でも文句や意見が言える独立した機関にすべきなどの意見が出た。
 また、シンポジウムを傍聴し、医療従事者を代表する立場として発言を求められた日本医学会の高久史麿会長は、「将来的には、専門職である医師のグループが中心となって第三者機関をつくり、そこで自律的な処分を行いながら、かつ判定をするという体制に持って行く必要があるのではないか。厚労省や内閣府に置くよりも、それが本来のあるべき姿だと思う」などと述べた。

 今後の議論の仕方について鈴木弁護士は、「困難な局面を乗り切るために、学際的な検討が必要」などと述べた上で、「皆が安心できるようなものができて初めてスタートするのではなく、実践の中から思考錯誤していくことが重要だと思う」との考えを示した。


更新:2009/12/01 14:59   キャリアブレイン

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