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クラスター爆弾:禁止条約、来年発効も 既に24カ国批准、あと6カ国

 <世の中ナビ NEWS NAVIGATOR 国際>

 不発弾が市民を殺傷しているクラスター爆弾の使用や製造を禁ずるクラスター爆弾禁止条約(オスロ条約)の署名式が行われて12月3日で1年を迎える。非政府組織(NGO)クラスター爆弾連合(CMC)によると、署名国は103、批准国は24に増えた。条約は30カ国が批准し約半年後に発効するが、NGOは「来年の発効の可能性が高まっている」と期待する。【パリ福原直樹、斎藤義彦】

 ごう音とともに、大きな黒煙が立ち上った。24日、コロンビア東部のマランドゥア空軍基地で、同空軍の所有する最後のクラスター爆弾の爆破処理が行われた。条約は発効後8年以内に保有する爆弾の廃棄を定めている。条約に署名したコロンビアは、署名・批准への機運を高めるため、5月からいち早く廃棄に取り組んだ。南米ではチリやペルーが署名済みだが、ブラジルが未署名なうえ製造を続けており、CMCは「今こそ爆弾を捨てる時だ」と呼びかけた。

 9月に批准したフランスのクシュネル外相は「国際的な人権擁護の戦いに、仏が参加できたことを誇りに思う。苦しむ爆弾の被害者に(条約で)『希望』が生まれた」と語った。今月12日には、03年のイラク戦争で大量のクラスター爆弾が米軍により使われた被害国のイラクも署名。数カ国が批准の準備を進めているとされ、早期の発効も視野に入ってきた。

 オスロ条約には、クラスター爆弾を大量に持つ米露中などは加盟しておらず、条約の大きな欠点といわれてきた。しかし最近、米オバマ政権の軍縮政策に変化が見られ、署名への期待も高まっている。

 オスロ条約のモデルとなったのが、市民主導で制定された対人地雷禁止条約(オタワ条約、99年発効)だ。コロンビアで30日から開かれる対人地雷禁止条約の検討会議に、オバマ政権は米国として初めて「オブザーバー」の代表団を派遣する。

 米国務省は24日に対人地雷禁止条約に「署名しない」としたが、強い批判を受け、25日に急きょ「まだ政策の見直し中」と態度を変更。オバマ政権が、軍縮についての世界の視線を相当に意識していることを裏付けた。

 ◇製造企業へ投融資 「禁止法」制定、動き広がる

 ベルギーのNGO「ネットワーク・フランデレン」の調査で、11カ国の27金融機関がクラスター爆弾製造企業への投融資を中止したことがわかったが、このような「倫理的投融資」については、ベルギー、ルクセンブルク、アイルランドが既に法律を制定。国内の金融機関や公共機関にクラスター爆弾製造企業への投融資を禁止している。ノルウェーやデンマークは倫理的投融資法を討議中で、レバノン、メキシコ、ルワンダは同様の措置を検討中という。

 同NGOは各国へのオスロ条約署名を呼びかけるとともに、署名国には投融資を禁じる金融機関向けガイドラインの作成を提言。各金融機関には「倫理的投融資」の徹底を求めている。

 NGO「ハンディキャップ・インターナショナル」パリ支部のリベルトゥチ担当官は「投融資禁止法の制定を仏政府に強く働きかけていく」と述べており、今後、各国で法律制定を求める動きも高まりそうだ。

毎日新聞 2009年11月29日 東京朝刊

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