不発弾が市民を殺傷しているクラスター爆弾の製造企業に対し、11カ国27の金融機関が投融資を一部または全面的に中止したことがベルギーの非政府組織(NGO)の調べで分かった。12月3日で署名1年を迎えるクラスター爆弾禁止条約(オスロ条約)の影響で、爆弾製造など非倫理的な行為を行う企業に投融資しない「倫理的投融資」の流れが定着したと言えそうだ。
NGO「ネットワーク・フランデレン」によると、オランダ、スウェーデン、ノルウェーなど14の金融機関がすべての製造企業への投融資を全面中止。カナダ、デンマーク、仏、英などの13機関が投融資を一部中止した。
これら11カ国はすべてオスロ条約に署名した。中止は04年ごろから始まり、条約の議論の高まりとともに07年から本格化した。条約は未発効で製造企業への投融資を直接禁じてはいないが、製造への「協力」は禁止している。
一方、米韓などのクラスター爆弾製造企業8社に限って過去2年間の経営状況を調べた結果、米国の70、韓国の16、日本の5など138機関の投融資や関与が判明した。三菱東京UFJ銀行、三井住友銀行、みずほフィナンシャルグループも含まれている。投融資は計約93億ドル(約8000億円)で、各金融機関は各企業の社債・株式約118億ドル(約1兆円)を保有・運用していた。
三菱東京UFJ銀行、三井住友銀行、みずほフィナンシャルグループは「個別の取引には回答を差し控える」としている。【パリ福原直樹、工藤哲】
毎日新聞 2009年11月29日 東京朝刊